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■iPS細胞で心臓病の治療治験申請へ 大阪大学の研究チーム [健康ダイジェスト]

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した心臓の筋肉の細胞をシート状にして、重い心臓病の患者の心臓に直接貼り付ける手術について、大阪大学の研究チームが治験として実施したいと、近く審査機関に申請することが明らかになりました。保険が適用される一般的な治療法としての確立が早まることが期待され、今年度内をめどに1例目の手術の実施を目指しています。
 大阪大学の澤芳樹教授の研究チームでは、体のさまざまな組織になるiPS細胞から作製した心臓の筋肉の細胞をシート状にして、重い心臓病の患者の心臓に直接貼り付けることで機能の回復を目指す治療法を研究しています。
 チームは、心筋シートを使った手術を、より早く実用化を目指せる治験として実施したいと大阪大学の審査委員会に申請し、23日までに承認されたということです。これを受けてチームは、10月中に治験の実施を国の審査機関に申請することにしています。
 この治療法は当初、基礎研究の意味が強い臨床研究として国の審査で了承され、準備が進められてきましたが、チームでは、その後に進んだ細胞を培養する技術などを踏まえ、手術を治験として行い、安全性や有効性を確認することにしたということで、保険が適用される一般的な治療法として確立するのが早まるのではないかと期待されています。
 iPS細胞を使った心臓病治療の手術は世界で初めてで、申請が認められれば今年度内をめどに1例目の患者の手術を実施したいとしています。
 京都大学の山中伸弥教授が開発したiPS細胞は、国内各地の大学などで、体の失われた機能を取り戻す再生医療への臨床応用が進められています。
 5年前には世界で初めて、神戸市にある理化学研究所などの研究チームが「加齢黄斑変性」という重い目の病気を対象に行い、iPS細胞から作製した目の網膜の組織を移植し、現在は安全性や効果などの評価が行われています。
 また、昨年10月には、京都大学の研究雨チームが体が動かなくなる難病のパーキンソン病の患者の脳にiPS細胞から作製した細胞を移植する手術を行ったほか、今年7月には大阪大学の研究チームがiPS細胞から作った目の角膜の組織を患者に移植して、視力の回復を目指す臨床研究を始めています。
 このほか、国の審査が終わり、実施に向けた準備が進められている臨床研究もあります。京都大学の別の研究チームは血液の病気の患者にiPS細胞から作った血小板を投与する臨床研究を行う予定です。
 さらに、慶応大学の研究チームは事故などで脊髄を損傷し、体が動かせなくなった患者にiPS細胞から作製した神経のもとになる細胞を移植し、機能の回復を目指す臨床研究を計画しています。
 研究を行っている大阪大学の澤芳樹教授は、「治験は実用化に向けた重要なステップで、ようやく患者さんに届けるところまで近付くことができたという思いでいる。今後はまずは安全性について慎重に確認しながら研究を進め、新たな治療を待っている大勢の患者のためになるよう進めていきたい」と話しています。

 2019年10月24日(木)

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JosephMourb

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