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■用語 高血糖 [用語(か行)]

[レストラン]血液に含まれる糖が必要以上に増えすぎた状態
 高血糖とは、余った糖が血液中に停滞し、必要以上に糖の量が多くなった状態。
 血液に含まれる糖(ブドウ糖)は、生きるために欠かせないエネルギー源。糖尿病でない人の血液に含まれる糖の量、すなわち血糖値は約70mg/dLから140mg/dLの間に維持されています。食後、食物に由来するブドウ糖やアミノ酸が体に吸収されると、膵(すい)臓からホルモンのインシュリンが分泌され、その働きにより食物から吸収されて血液に入ったブドウ糖が筋肉組織などへ取り込まれ、血糖値が一定値以上に上昇しないようになっています。
 しかし、糖尿病の人では、インシュリン作用の低下のため、この糖の量を一定に維持することができません。食事から取り入れたブドウ糖を体や脳のエネルギーとして消費するという需要と供給のバランスが崩れ、血液中の糖が増えすぎると高血糖、逆に糖尿病の薬が効きすぎるなどして血液中の糖が少なくなりすぎると低血糖になります。
 「食べすぎることがよくある」「菓子やジュースがやめられない」「これといった運動はしていない」「最近太り気味」といった項目に思い当たる人は、余った糖が血液中に停滞し、必要以上に糖の濃度が高まった高血糖になっている可能性があります。
 遺伝的な素因や心理的ストレスの影響も大きく、さらには、ただ年を取るだけでも、高血糖のリスクは高まります。
 健康診断で「血糖値は正常」といわれた人も、安心できません。空腹時の血糖値が高くなってくるよりも前に、食事の後にだけ血糖値が急上昇する食後高血糖を起こしている可能性があるからです。食後高血糖を繰り返すうちに空腹時の血糖値も上がり、ついには糖尿病を発症します。
 2016年の国民健康・栄養調査によると、糖尿病が強く疑われる成人と糖尿病の可能性が否定できない予備群とされる成人の合計は約2000万人。成人の4~5人に1人が該当します。その人数は増え続けており、もはや国民病という域に達しています。
 高血糖が引き起こすトラブルは、糖尿病だけではありません。血糖値上昇に伴う酸化ストレスや炎症、余った糖と体内の蛋白(たんぱく)質が結び付く糖化、そして高血圧や脂質異常、肥満などの影響が複雑に絡み合い、全身のさまざまな部位に悪影響を及ぼします。
 大きな血管では動脈硬化が進行し、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞のリスクが高まります。空腹時血糖値が正常でも、食後高血糖がある人では死亡リスクが約1・5〜3倍に跳ね上がることが大規模な疫学研究で明らかになっています。
 高血糖に引き続いて起こる糖尿病が進行すると、失明の原因となる網膜症や、腎不全に発展して人工透析が必要になることもある腎症といった、生活の質を著しく損なう疾患になることもあり、神経障害により足先が腐って切断を余儀なくされることもあります。
 このほか、血液の流れが悪くなり、神経も傷み、免疫力も低下するといったことが連鎖的に起こることで、歯周病や皮膚炎、感染症、勃起不全(ED)と いった疾患にかかりやすくなり、高血糖が認知症や骨の弱化、がんと関連していることも、数々の研究報告から明らかになってきました。
 さらに、血糖値が著しく上昇して500mg/dl以上になると、糖尿病性昏睡(こんすい)という状態に陥って意識を失い、命にかかわる危険な状態になる恐れがあります。
 糖尿病性昏睡に陥る切っ掛けは、糖尿病の治療を放置した状態にある人に感染が加わったり、ストレスや疲労、暴飲暴食によって血糖値が上昇したり、インシュリンの注射を中止したり、インシュリンの注射の量が適切でなかったりと、いろいろなケースがあります。
 病態によって、主に糖尿病性ケトアシドーシス(ケトン性糖尿病性昏睡、ケトン性昏睡)と、高血糖性高浸透圧状態(非ケトン性高浸透圧性昏睡)に分類されます。
 糖尿病性ケトアシドーシスは、インシュリンの絶対的不足に伴って細胞内の糖が欠乏し、慌てて脂肪酸からエネルギーを取り出そうとするために、副産物として生じる弱酸性のケトン体が全身性の代謝性ケトアシドーシスを引き起こし、血液が酸性に傾いて起こります。
 口の渇き、低体温、多尿、脱力感に続いて、腹痛、嘔吐(おうと)が2〜3日あり、次第に意識が消失していきます。統計的には、1型糖尿病(インシュリン依存型糖尿病)の患者に多くみられます。
 一方、高血糖性高浸透圧状態は、高血糖に脱水が加わって起こります。尿中の糖が多くなると、糖の濃度を薄める方向に血液中から水が流れ込みます。その結果として、細胞内脱水が起こります。
 意識障害が主症状で、高齢者はそもそも脱水状態になりやすいので、この病態にもなりやすい傾向があります。統計的には、高齢の2型糖尿病(インシュリン非依存型糖尿病)の患者に多くみられます。
 上記2つの高血糖による意識障害のほか、糖尿病患者は治療薬の副作用によって低血糖による意識障害や、乳酸アシドーシスを示す場合もあります。
 糖尿病性昏睡は早く治療を開始しないと死亡するため、糖尿病の悪化症状がある時は、すぐに医師に連絡をとる必要があります。
 内科、内分泌代謝内科などの医師による高血糖の治療では、原因となる基礎疾患を除去することが必要になります。例えば糖尿病が原因であれば、糖尿病の治療ということになります。糖尿病性昏睡は多くの場合、血液中の糖分を低下させるホルモンのインシュリンを静脈に注射し、血糖値を下げることによって治療が可能です。

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■うつ病のリスク、魚介類を適度に食べると半減 がん研究センターなどが分析 [健康ダイジェスト]

 青魚などの魚介類を1日に110グラムほど食べると、うつ病のリスクが下がるとの調査結果を国立がん研究センターと慶応大学の研究チームがまとめ、イギリスの科学誌「ネイチャー」の関連誌(電子版)に26日、発表しました。青魚に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)などの脂肪酸の影響とみられます。
 研究チームは、1990年に長野県佐久市に住んでいた40~59歳の男女約1万2000人を25年間追跡調査し、2014~2015年に実施した「こころの検診」を受けた1181人について、魚介類の摂取量や病歴、生活状況を調べました。1181人のうち、95人(8%)が精神科医にうつ病と診断されていました。
 加工品も含め19種類の魚介類の1日の摂取量に応じて4グループに分けて分析すると、最も少ないグループ(中央値57グラム)に比べ、2番目に多いグループ(中央値111グラム)は、うつ病のリスクが56%低くなりました。統計的に意味のある差は出ませんでしたが、3番目に多いグループ(中央値84グラム)と1番目に多いグループ(中央値153グラム)も、最も少ないグループよりリスクは下がりました。
 エイコサペンタエン酸やドコサペンタエン酸(DPA)といったオメガ3系脂肪酸(n―3系脂肪酸)の摂取量でも同様に分析すると、最も少ないグループ(中央値200ミリグラム)に比べ、2番目に少ないグループ(中央値307ミリグラム)は、うつ病のリスクが46%低くなりました。ただし、ある程度以上の量を摂取するとリスクが上がりました。
 調査を担当した国立がん研究センター・社会と健康研究センター健康支援研究部の松岡豊部長によると、魚介類をたくさん食べる人は野菜を食べる量も多く、揚げたり炒めたりでサラダ油を多く使う傾向があります。サラダ油に含まれるオメガ6系脂肪酸(n―6系脂肪酸)は炎症を起こす作用があり、オメガ3系脂肪酸(n―3系脂肪酸)の効果を打ち消した可能性があるといいます。
 松岡部長は、「心の健康を保つために1日100グラムほどの魚介類を食べてほしい」と話しています。
 一般的にサバの切り身は80グラム程度、イワシは1匹80~100グラムといいます。

 2017年9月27日(水)

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■産婦人科と産科、全国の病院数過去最少 26年連続減、出生数の減少が影響 [健康ダイジェスト]

 厚生労働省は26日、2016年医療施設調査を公表しました。2016年10月1日現在における全国の医療施設総数は18万1052施設で、このうち「休止・1年以上休診中」の施設を除いた「活動中の施設」は17万8911施設で、医療施設総数の98・8%となっています。
 また、産婦人科と産科を掲げていた全国の病院は1332施設(一般病院総数の18・0%)で、前年比21施設減となり、現在の形で統計を取り始めた1972年以降の過去最少を更新しました。26年連続の減少で、内訳は産婦人科が1136施設(一般病院総数の15・4%)、産科が196施設(一般病院総数の2・7%)。
 小児科も前年より24施設少ない2618施設(一般病院総数の35・5%)で、23年連続減となりました。
 厚労省は、「出生数の減少や少子化が影響した。夜間や休日対応が多いなど就業環境の厳しさから医師が不足している状況もある」と分析。産婦人科と産科に関しては、「施術を巡り患者から訴えられる訴訟リスクへの懸念もある」としています。

 2017年9月27日(水)

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■用語 アスリート心臓 [用語(あ行)]

[足]長期にわたり、激しい肉体運動を続けるアスリートなどにみられる心臓の状態
 アスリート心臓とは、長期にわたって激しい肉体運動を続けるマラソン、水泳、ボート、自転車などの持久力を要するアスリート(運動選手、スポーツマン、スポーツ選手)にみられる、心臓が肥大する症状。スポーツ心臓、スポーツ心臓症候群とも呼ばれます。
 1899年、スウェーデンのヘンシェン医師がクロスカントリースキー選手の診察をして、心臓疾患がないのに心臓が大きくなっていることに気付いて、この特異な症状をアスリート心臓と名付けました。
 高血圧や心臓弁膜症などの疾患でも心臓が大きくなりますが、このような病的な心臓とアスリート心臓との最も重要な相違は、病的な心臓では心機能が低下しているのに対して,アスリート心臓では心機能が優れている点です。一般的に、肉体運動を中止すると平常のサイズの心臓に戻ります。
 アスリート心臓の特徴は、心臓自体が球状に大きくなっていくのとともに、不整脈や徐脈など脈拍に変動がみられることが挙げられます。
 一般的な人の場合、安静時の心拍数は1分間に60~80回が正常とされ、安静時の心拍数が50回以下になると、脈拍が遅くなる徐脈性の不整脈である疑いが指摘されます。しかし、アスリート心臓が出現するようなトップアスリートでは、安静時の心拍数が40回を下回ることが少なくなく、中には30回以下という例もあります。一般の人では異常とされる所見も、アスリート心臓の場合には激しい肉体運動によって心臓に構造的、機能的な変化が生じたもので、生理的な適応現象だと考えられています。
 なお、脈拍は徐脈の傾向を示しますが、血圧に関しては、一般の人の血圧とアスリート心臓の人の血圧とには、数値にそれほど大きな違いはみられないとされています。
 アスリート心臓は、いずれの競技種目の選手にもみられるものではなく、種目によって出現しやすさが変わります。比較的多くみられるのは、マラソン、水泳、ボート、自転車、クロスカントリースキー、重量挙げ、柔道などの持久力や耐久力が必要とされる競技種目のアスリートです。
 アスリート心臓の特徴を示すに至るには、アスリート歴が長く、しかもかなりハードなトレーニングを長い期間にわたって続けることが必要になります。ある調査で、1日に10キロほどのジョギングの習慣があり、フルマラソンやトライアスロンのレースにも出場するような市民ランナーを対象に心臓の所見を調べたところ、アスリート心臓の場合と同様に徐脈の傾向はみられたものの、アスリート心臓との所見がみられた例はなかったといいます。
 このことからも、アスリート心臓自体はかなりハードで高度なトレーニングを何年にもわたって続けてきたトップアスリートにのみ出現するものだと考えられています。トップアスリートがアスリート心臓になる確率は、女性が22・5%、男性が7・5%と女性のほうが高くなっています。
 アスリート心臓は競技種目の特性やトレーニングの強度などにより、心肥大型、心拡張型、複合型に分類されます。
 心肥大型は、瞬発力を要するような競技種目のアスリートに多くみられる型です。代表的な競技種目に、重量挙げや柔道、レスリングなどがあります。筋力トレーニングのように、筋肉を急激に縮めるような運動を行うことで心臓にはその圧力の負荷がかかるため、次第に心臓の壁が厚くなっていきます。特に、左心室の壁に筋肉が増えることによる肥厚が顕著となります。また、それに伴って心臓の重さも増します。
 心拡張型は、持久力を要するような競技種目の選手に多くみられる型です。代表的な種目としては、マラソンなどの長距離走や水泳があります。持久性トレーニングのような運動により、運動をしている時には血圧が上昇し、心拍数も増加します。また、1回に心臓から送り出される血液量も増加するため、一度に送り出す血液の容量を増やすという負荷が心臓に加わります。その結果、次第に心臓は容積を増やすように拡張して大きくなります。とりわけ、左心室の内腔に容積の拡大が顕著にみられるという特徴があります。
 複合型は、心肥大型と心拡張型との両方が起こった状態です。代表的な競技種目に、自転車やクロスカントリースキーがあります。競技時間が長く有酸素的な酸素供給量が必要なことと、筋肉が1回当たり出力している時間が他の競技と比べ長いために、心室の壁が厚くなり、かつ心室の容積が増えるタイプの心臓となります。
 心電図にしばしば異常が認められ、不整脈や徐脈など脈拍に変動がみられる場合でも、アスリート心臓と診断される場合には病的なものとはされません。しかし、例えば競技中に突然死する原因の一つとされる肥大型心筋症のように、アスリート心臓と類似した所見を示す疾患が、アスリート心臓と誤診される可能性がないわけではありません。
 定期的に検診やメディカルチェックを受けるようにして、必要な場合にはきちんと治療を受けておくようにすることが大切です。
[足]アスリート心臓の検査と診断と治療
 循環器科、内科循環器科、内科などの医師による診断では、アスリート歴、病歴を問診した上、聴診、心電図検査、胸部X線検査を行います。
 アスリート心臓の特徴である聴診時の心雑音、安静時の心拍数が1分間に40~50回未満の徐脈、胸全体の大きさに対して心臓が占める割合である心胸郭比50%超を認める場合は、アスリート心臓である可能性が高いと判断します。
 過去に心筋症や不整脈がなかったことを確認できない場合は、特発性拡張型心筋症、肥大型心筋症などがアスリートにとっての突然死の原因となり得るため、心エコー検査、24時間ホルター心電図検査、運動負荷心電図検査などを追加して精密検査を行い、重篤な心疾患との鑑別を行います。
 循環器科、内科循環器科、内科などの医師による治療では、一般に経過が良好なため、処置を行いません。アスリート心臓における変化は可逆的なのが特徴で、トレーニングを中止するとアスリート心臓にみられる特徴の多くはみられなくなります。

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