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■梅毒患者、半年で3236人に上る 日本医師会「特異的」と注意喚起 [健康ダイジェスト]

 性行為などで感染する梅毒の6月までの患者数が3236人に上り、昨年同期の2613人を大きく上回ったことが、国立感染症研究所の集計で明らかになりました。日本医師会は5日、「近年の患者の急増は特異的だ」と注意を呼び掛けました。
 今年4~6月は1735人で、1~3月の1501人から増加。このままいくと今年1年間の患者数は6000人を超え、現行の集計方式となった1999年以降最多だった昨年の5820人を上回るのは確実とみられます。
 今年4~6月の都道府県別の患者数は、東京都の445人が最多。昨年同期の491人よりは減少しました。一方、2番目に多い大阪府は302人で昨年同期の192人から大幅に増えました。さらに、愛知県、神奈川県、兵庫県、福岡県の大都市圏が続きました。
 女性は20歳代前半の若い世代に極端に患者が多く、男性は20~40歳代を中心に幅広い年代で報告があります。
 梅毒はスピロヘータ (梅毒トレポネーマ) という細菌が原因で起きる感染症で、近年増加傾向。抗菌薬で早期に治療すれば完治するものの、放置すると脳や心臓に大きな合併症を引き起こします。また、妊娠中に感染すると、流産したり、生まれてくる子が「先天梅毒」になったりすることがあります。 
 厚生労働省は、疑わしい症状がある人や、過去に性感染症になったことがある人は検査を受けるよう呼び掛けています。
 梅毒患者が急増していることを受けて、日本医師会は、梅毒診療ガイド(ダイジェスト版)を作成し、会員の開業医らに配布しました。日本医師会が5日に開いた定例記者会見で平川俊夫常任理事は、2018年度末には「7000人に達するのではないか」「近年の梅毒患者の増加は特異的」などと述べました。 
 梅毒診療ガイドは、日本性感染症学会などと協力して作成したもので、梅毒が疑われる場合の症状を記載したチャートや、治療方法などをまとめました。平川常任理事は、「あらゆる診療科が常に梅毒の増加を念頭に入れて、疑わしい症状があれば、まず検査をして梅毒でないことを確かめる」ことが必要だと注意喚起しました。 
 国立感染症研究所の集計によると、性器クラミジア感染症などの性感染症は2009年以降、軒並み減少傾向か横ばいなのに対し、梅毒は2010年以降増え、特に2014年ごろから急増しています。平川常任理事は「近年の梅毒患者の増加は特異的」と指摘し、「研究段階」と断った上で、スピロヘータの株が20世紀の後半から変化してきているという説もあることを明らかにしました。 
 梅毒は、異性間性交渉で感染するケースが多いため、平川常任理事は、患者本人だけでなく、パートナーの医療機関への受診を医療関係者が促したり、検査項目に「梅毒」がある妊婦健康診査の受診を徹底したりするよう医療機関に呼び掛けました。 

 2018年9月6日(木)

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■WHO、世界的な運動不足に警鐘 14億人に健康リスク [健康ダイジェスト]

 世界保健機関(WHO)は5日、世界の18歳以上の成人の4人に1人に当たる14億人以上が運動不足とみられるとの研究結果を発表しました。世界的な運動不足の改善努力はほとんど成果を挙げていないとして、WHOの専門家は警鐘を鳴らしています。
 推計14億人以上という運動不足の人の数は、2001年調査からほとんど改善していません。運動不足は、心臓疾患や2型糖尿病、複数のがんなどさまざまな健康問題にかかるリスクを悪化させます。
 イギリスを含む高所得国では特に、運動不足の割合が高くなりました。また、アジアの2地域を除く世界的な傾向として、男性に比べて女性のほうが運動不足の割合が多くなりました。  
 イギリスの医学誌「ランセット・パブリック・ヘルス」で発表された研究結果によると、WHOの研究者は世界168カ国における人口調査358件で得た自己申告データを調べました。調査対象者は190万人に上ったといいます。
 調査は週に150分の緩い運動、もしくは75分の激しい運動をしない人を、運動不足と定義しました。
 イギリスやアメリカを含む高所得国では、運動不足の人の割合が、2001年の32%から2016年は37%に上昇。ドイツ、ニュージーランド、アメリカでも、運動不足の割合は増えていました。一方で、低所得国での運動不足の人の割合は、16%と変化がありませんでした。
 東アジアと東南アジアを除く地域では、女性のほうが男性より運動不足でした。男女差が特に大きかったのは、南アジア、中央アジア、中東、北米、西欧の高所得国でした。女性のほうが育児負担が大きい、あるいはその土地の風習で女性が運動しにくいなど、さまざまな複合的な要因が関係しているだろうと、研究チームは指摘しています。
 2016年調査によると、イギリスにおける運動不足の割合は、男性が32%、女性が40%で、全体で36%でした。富裕国では、仕事も趣味も座って行うものへの移行が進み、かつ自動車移動の利用も増えています。これらの要因が、運動不足の割合を高くしているかもしれないと、研究チームは指摘しています。
 一方、低所得国の人は、仕事で体を動かす機会が多かったり、公共交通機関を使う度合いが多かったりするとみられています。
 調査報告書の筆者は、運動不足を2025年までに10%減らすとのWHOの目標がこのままでは達成されないと警告しています。
 WHOの調査報告書で筆頭著者を務めたレジーナ・グートルト博士は、「他の主要な国際的健康リスクと異なり、運動不足の程度は平均して世界全体で改善されていない。また、全成人の4分の1以上が、健康のために推奨される身体運動の水準を満たしていない」、「運動不足が増えている地域は、公衆衛生や、非感染性疾患の予防と制御について重大な懸念となっている」と述べました。
 調査報告書の共著者を務めたフィオナ・ブル博士は、「国際的な運動目標を達成するには、身体運動の量に関する男女差への対策が極めて重要になる。そのためには、安全、安価で文化的に許容される運動の機会を女性が利用しやすくなるよう、介入が求められる」と話しました。
 WHOは成人に対して、早歩きや水泳、軽いサイクリングなどの「中程度の運動」を少なくとも週150分、またはランニングやチームスポーツなどの「激しい運動」を少なくとも週75分行うことを推奨しています。

 2018年9月6日(木)

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