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■新型コロナウイルス、国内の1日の死者が過去最多の41人に 大阪府で318人感染、300人以上は10回目 [健康ダイジェスト]

 国内では1日午後8時20分の時点で、東京都で372人、大阪府で318人、北海道で206人、愛知県で197人、神奈川県で158人、兵庫県で123人、埼玉県で104人、千葉県で74人、茨城県で50人、静岡県で42人、福岡県で33人、群馬県で32人など、全国で合わせて2017人の新型コロナウイルスへの感染が発表されています。
 また、北海道で14人、大阪府で6人、東京都で5人、兵庫県で3人、埼玉県で3人、千葉県で2人、愛知県で2人、茨城県で2人、佐賀県で1人、岩手県で1人、神奈川県で1人、福島県で1人の、合わせて41人の死亡の発表がありました。これまで5月2日と11月27日に記録し最も多かった31人を上回り、過去最多となりました。
 国内で感染が確認された人は、空港の検疫などを含め15万1012人、クルーズ船の乗客・乗員が712人で、合わせて15万1724人となっています。
 亡くなった人は、国内で感染した人が2193人、クルーズ船の乗船者が13人の合わせて2206人です。
 厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や集中治療室などで治療を受けるなどしている重症者は、1日時点で、前日比21人増の493人となっています。
 症状が改善して退院した人などは、1日時点で、国内で感染した人が12万5470人、クルーズ船の乗客・乗員が659人の、合わせて12万6129人となっています。
 大阪府は1日、府内で新たに318人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表しました。大阪府内で1日の感染者の発表が300人以上となるのは10回目で、1日の感染者が200人を超えるのは15日連続。
 これで府内で感染が確認された人の累計は、2万591人となりました。
 また、大阪府は1日、新型コロナウイルスに感染した70歳代から80歳代の男女、合わせて6人が死亡したと発表しました。大阪府内で新型コロナウイルスに感染して亡くなった人は、326人となりました。
 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、大阪市の市立病院は新型コロナの患者に対応する看護師を確保するため、がん患者などを扱う一部の専門病棟を、一時的に閉鎖することになりました。看護師不足のため、大阪府内で病棟の閉鎖を余儀なくされた病院はほかにもあり、新型コロナの感染拡大は一般の患者の治療にも影響が出る事態になっています。
 大阪市の市立病院を管轄する市民病院機構によりますと、都島区にある大阪市立総合医療センターでは、12月上旬から10歳代から30歳代のがん患者専門の病棟を、一時的に閉鎖することになったということです。
 この病棟に入院している約20人の患者は、総合医療センター内の別の病棟で治療を続けるということです。
 この病棟で勤めていた看護師約20人は、総合医療センターや、淀川区にある市立十三市民病院で、新型コロナの患者の対応に当たることにしています。
 総合医療センターでは、これまでにも緩和ケアや婦人科などの診療科を一時的に閉鎖し、合わせて看護師約80人を新型コロナの患者に対応する医療スタッフとして配置したということです。
 総合医療センターの畑公祥総務課長は、「それぞれの専門領域で患者の治療に専念したいが、コロナの拡大で苦渋の決断を迫られている」と話しています。
 大阪府内にある病院でつくる大阪府病院協会の佐々木洋会長は、「今いる看護師の人数で新型コロナに対応するしかないため、結果的に一般の患者をみることを制限せざるを得なくなってしまっている。現在、どの病院でも診療を縮小してコロナの対応に当たっていて、診療科や専門病棟を閉鎖する病院が、今後もっと多くなってくるという危機感を持っている。このままでは一般の患者の治療が先送りになることが予想され、医療の質が落ちる由々しき事態だと考える」とコメントしています。

 2020年12月1日(火)

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■モデルナが新型コロナワクチンの緊急使用許可を申請 アメリカで2例目 [健康ダイジェスト]

 アメリカの製薬会社モデルナは11月30日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンの有効性を分析した結果を明らかにするとともに、規制当局の食品医薬品局(FDA)にワクチンを緊急で使用するための許可を申請したと発表しました。日本政府はモデルナとの間で、2500万人分(5000万回分)のワクチンの供給を受ける契約を結んでいます。
 発表によりますと、開発の最終段階となる第3段階の臨床試験では、3万人以上の対象者の中で新型ウイルスの感染症が196例確認されましたが、このうち185例は「プラセボ」と呼ばれる偽薬の接種を受けた人たちで、実際にワクチンの接種を受けた人では11例だったということです。
 また、重症化したケースも30例ありましたが、すべてプラセボのグループだったということで、モデルナは94・1%の有効性が確認されたとした上で、安全性について健康への重大な影響は認められていないとしています。
 アメリカでワクチンの緊急の使用許可を申請したのは製薬大手ファイザーに続き2例目で、モデルナは今後、ヨーロッパ連合(EU)の規制当局にも条件付きで製造、販売するための許可を申請するとしています。
 FDAが12月17日に開く諮問委員会で有効性を認めれば、年内にも供給が開始される見通し。接種は1人2回で、承認されればモデルナはアメリカ国内向けに1000万人分(2000万回分)を供給します。
 先行しているファイザーのワクチンに関しては、12月10日に開かれる諮問委員会を受けて許可されるとみられ、アメリカ政府は承認から24時間以内にワクチンを各州に供給する態勢を整えるとしています。順調に進めば、アメリカでは年内に2種類のワクチンの供給が始まることになります。
 アメリカ保健福祉省のアレックス・アザー長官は11月30日、CBSテレビの番組で、両社のワクチンが「クリスマス(12月25日)前に国民に接種できるようになる」と述べました。
 日本政府はモデルナがワクチンの開発に成功した場合、来年秋までに2500万人分のワチンの供給を受ける契約を結んでおり、このうち2000万人分は来年1月から6月までに供給されることになっています。
 厚生労働省は、国民全員が接種できる量のワクチンを、来年前半までに確保する方針で、欧米の製薬会社3社との間で、開発に成功した場合に供給を受ける契約などを結んでいます。
 モデルナのほか、アメリカのファイザーとは来年6月末までに6000万人分、イギリスのアストラゼネカとは来年3月末までに1500万人分、合わせて6000万人分の供給を受けることでそれぞれ基本合意しています。
 厚労省によりますと、3社のうちファイザーとアストラゼネカは、すでに日本国内で臨床試験を始めています。また、モデルナが開発するワクチンの輸入などを手掛ける武田薬品工業によりますと、現在、モデルナも日本国内での臨床試験の実施に向けて準備を進めているということです。
 厚労省は今後、各社から承認申請が出された時点で承認するかどうかを判断し、具体的な接種の開始時期などを検討することにしています。

 2020年12月1日(火)

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■用語 ミューカスシスト [用語(み)]

[手(チョキ)]手指の先端にできる良性腫瘍で、中年以降の女性に多く発生
 ミューカスシストとは、主に手指の先端の第1関節(DIP関節)の甲側、時に足趾の甲側に、水膨れのような形状の膨らみが生じる良性の疾患。指趾粘液嚢腫(ししねんえきのうしゅ)とも呼ばれます。
 中年以降の女性に多くみられる傾向があります。
 膨らみは直径1センチ以下のものが多く、膨らみの内部は透明なゼリー状の粘液で満たされています。
 多くは膨らみを触知するだけで無症状ですが、大きくなると皮膚が引き延ばされて薄くなり、内部が透けて見えるようになったり、痛みを伴ったりすることがあります。皮膚が破れると、細菌が第1関節内に入って関節を壊し、化膿(かのう)性関節炎や骨髄炎に至る可能性があります。
 また、爪(つめ)の付け根近くに膨らみが生じ、爪を作る爪母を圧迫した場合は、爪に縦方向の溝が入ったり、変形したりすることもあります。
 このミューカスシストには、線維芽細胞がヒアルロン酸を過剰に分泌して、皮膚下にたまる粘液腫性型と、骨性の盛り上がりの骨棘(こっきょく)の刺激により関節内の潤滑剤として働く滑液が周囲の組織に漏れ出し、貯留して膨らみを形成するガングリオン型があります。
 さらに、第1関節の変形性関節症であるへバーデン結節に伴う変形や炎症が刺激となって、ミューカスシストが合併して生じるケースも多く見受けられます。
 外傷が元になって生じるケースも多く見受けられるものの、複数の指に指趾粘液嚢腫ができます。
 ミューカスシストは自然に治る傾向がほとんどないため、治療の希望があれば皮膚科、皮膚泌尿器科、あるいは整形外科の専門医を受診します。
[手(パー)]ミューカスシストの検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科、整形外科の医師による診断では、病変の見た目から判断することもよくあります。ただし、確定診断のためには、ゼリー状の粘液を注射器で吸引して顕微鏡で調べる生検を行い、ヒアルロン酸などを確認することが必要です。
 このほか、小さな病変の確認や、より詳しい評価のために、X線(レントゲン)検査、超音波(エコー)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査などを実施するケースもあります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科、整形外科の医師による治療では、健康に悪影響を及ぼすことが少ない良性疾患であり、治療を行わなければいけないというわけではありません。
 膨らみが自然に消えることは少ないため、肥大した膨らみが神経や腱(けん)を圧迫して痛みがある場合や患者が希望する場合には、保存的治療、凍結療法、摘出手術のいずれかを行います。
 保存的治療では、注射器でゼリー状の粘液を穿刺(せんし)吸引します。麻酔をかける必要はなく、痛みも少ないという特徴があります。しかし、根本的な治療方法ではないため、繰り返し行う必要がありますが、複数回実施することで治癒するケースもあります。粘液を吸引した後、少量のステロイド薬を注入することもあります。
 凍結療法では、液体窒素を用いて、病変組織を凍結して破壊します。治療時に痛みを伴いますが、副作用は少なく安全性の高い方法とされます。
 摘出手術では、局所麻酔をかけ、根治を目的として病変組織を十分に切除します。ガングリオン型のミューカスシストの場合は、病変組織が関節や腱に付着し、その根元が深かったり、小さな病変がたくさん付属していることがあるため、十分に注意を払って骨性の盛り上がりの骨棘を切除すると、治癒することが多くあります。
 へバーデン結節に合併したミューカスシストの場合は、保存的治療で痛みが改善しない時や、変形がひどくなったり関節の動揺性がひどくなって日常生活に支障を来す時は、第1関節を固定する手術、骨棘と病変組織を切除する手術を行うことがあります。

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■用語 指趾粘液囊腫 [用語(し)]

[手(パー)]手指の先端にできる良性腫瘍で、中年以降の女性に多く発生
 指趾粘液嚢腫(ししねんえきのうしゅ)とは、主に手指の先端の第1関節(DIP関節)の甲側、時に足趾の甲側に、水膨れのような形状の膨らみが生じる良性の疾患。ミューカスシストとも呼ばれます。
 中年以降の女性に多くみられる傾向があります。
 膨らみは直径1センチ以下のものが多く、膨らみの内部は透明なゼリー状の粘液で満たされています。
 多くは膨らみを触知するだけで無症状ですが、大きくなると皮膚が引き延ばされて薄くなり、内部が透けて見えるようになったり、痛みを伴ったりすることがあります。皮膚が破れると、細菌が第1関節内に入って関節を壊し、化膿(かのう)性関節炎や骨髄炎に至る可能性があります。
 また、爪(つめ)の付け根近くに膨らみが生じ、爪を作る爪母を圧迫した場合は、爪に縦方向の溝が入ったり、変形したりすることもあります。
 この指趾粘液嚢腫には、線維芽細胞がヒアルロン酸を過剰に分泌して、皮膚下にたまる粘液腫性型と、骨性の盛り上がりの骨棘(こっきょく)の刺激により関節内の潤滑剤として働く滑液が周囲の組織に漏れ出し、貯留して膨らみを形成するガングリオン型があります。
 さらに、第1関節の変形性関節症であるへバーデン結節に伴う変形や炎症が刺激となって、指趾粘液嚢腫が合併して生じるケースも多く見受けられます。
 外傷が元になって生じるケースも多く見受けられるものの、複数の指に指趾粘液嚢腫ができます。
 指趾粘液嚢腫は自然に治る傾向がほとんどないため、治療の希望があれば皮膚科、皮膚泌尿器科、あるいは整形外科の専門医を受診します。
[手(パー)]指趾粘液囊腫の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科、整形外科の医師による診断では、病変の見た目から判断することもよくあります。ただし、確定診断のためには、ゼリー状の粘液を注射器で吸引して顕微鏡で調べる生検を行い、ヒアルロン酸などを確認することが必要です。
 このほか、小さな病変の確認や、より詳しい評価のために、X線(レントゲン)検査、超音波(エコー)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査などを実施するケースもあります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科、整形外科の医師による治療では、健康に悪影響を及ぼすことが少ない良性疾患であり、治療を行わなければいけないというわけではありません。
 膨らみが自然に消えることは少ないため、肥大した膨らみが神経や腱(けん)を圧迫して痛みがある場合や患者が希望する場合には、保存的治療、凍結療法、摘出手術のいずれかを行います。
 保存的治療では、注射器でゼリー状の粘液を穿刺(せんし)吸引します。麻酔をかける必要はなく、痛みも少ないという特徴があります。しかし、根本的な治療方法ではないため、繰り返し行う必要がありますが、複数回実施することで治癒するケースもあります。粘液を吸引した後、少量のステロイド薬を注入することもあります。
 凍結療法では、液体窒素を用いて、病変組織を凍結して破壊します。治療時に痛みを伴いますが、副作用は少なく安全性の高い方法とされます。
 摘出手術では、局所麻酔をかけ、根治を目的として病変組織を十分に切除します。ガングリオン型の指趾粘液囊腫の場合は、病変組織が関節や腱に付着し、その根元が深かったり、小さな病変がたくさん付属していることがあるため、十分に注意を払って骨性の盛り上がりの骨棘を切除すると、治癒することが多くあります。
 へバーデン結節に合併した指趾粘液囊腫の場合は、保存的治療で痛みが改善しない時や、変形がひどくなったり関節の動揺性がひどくなって日常生活に支障を来す時は、第1関節を固定する手術、骨棘と病変組織を切除する手術を行うことがあります。

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■用語 汗孔角化症 [用語(か)]

[キスマーク]カサカサした皮疹が四肢を中心に多発する皮膚病
 汗孔角化(かんこうかくか)症とは、直径数ミリから数センチの大きさで、赤や茶色の円形または環状の形をした、平たく少しだけ盛り上がったカサカサした皮疹(ひしん)が、四肢を中心として、全身の皮膚に多発する疾患。
 男性に多く、自覚症状が乏しいことが多くなっています。皮膚の症状はよくなったり悪くなったりして、基本的に慢性的かつゆっくり症状が経過します。時にしこりのようになり、皮膚がんに移行する例もあります。
 以前は、汗の出口である汗孔が厚みを増して硬くなる角化異常が関与していると考えられていましたが、今は、皮膚病変が汗孔に限局しないことがわかっています。
 皮疹の分布や経過により、古典型(ミベリ型)、日光表在播種(はしゅ)型、表在播種型、線状型、掌蹠(しょうせき)播種型、限局型の病型に分けますが、明確でないことも多くみられます。
 古典型(ミベリ型)汗孔角化症は、手足や顔面に小型の皮疹が左右対称に数個、散発性に生じます。常染色体優性遺伝の疾患で、親子や兄弟がともに発症することがあります。  日光表在播種型汗孔角化症は、特に日光に当たる腕や足の外側に小型の皮疹が多数現れます。皮疹が融合することもあります。
 表在播種型汗孔角化症は、常染色体優性遺伝の疾患で、紫外線が皮疹を誘発していると考えられています。症状は日光表在播種型とほぼ同様ですが、日光が当たる部位以外にも皮疹が多数現れます。皮疹は、円形ないしは楕円(だえん)形の不規則な環状の隆起局面で、中心部の皮膚は委縮しています。
 線状型汗孔角化症は、生まれた時から幼少期までの間に、体の一部分の皮膚に集中して皮疹ができ始め、線状、帯状に現れます。
 掌蹠播種型は、手のひらや足の裏に角化した小さな皮疹が多数現れます。全身に拡大することもあります。
 限局型は、限られた部位に大型の皮疹ができます。
 発症の原因として、常染色体優性遺伝、外傷、加齢、紫外線、放射線、免疫抑制状態、肝炎ウイルスなどが考えられています。
 日本人の400人に1人は、汗孔角化症を発症する生まれ付きの素因を持っていると見なされています。さらに、そのような人では、日光に含まれる紫外線に当たるなどにより後天的に皮膚細胞のゲノムが変化すると、汗孔角化症の症状が全身の皮膚に多発することになります。
 汗孔角化症を発症する人は、メバロン酸経路の酵素をコードするMVD、MVK、PMVK、FDPSなどの遺伝子に、生まれ付きの変化(遺伝子変異)を1つ持っています。人の細胞は遺伝子を2つずつ持っているため、遺伝子の片方が変化して働かなくても、もう片方がスペアとして働き、通常は何も問題は起きません。
 しかし、皮膚細胞のゲノムに生じた後天的な変化によって、MVD遺伝子などが2つとも働かなくなった細胞が汗孔角化症の皮疹を作り、後天的な変化が胎児期に1度だけ生じると線状型汗孔角化症になり、大人になってから後天的な変化が皮膚のあちらこちらで何度も生じると、表在播種型汗孔角化症になります。
 皮膚がんに移行することがあるので、皮膚病変に気付いたら、皮膚科専門医を受診して正しい診断をつけてもらい、適切な治療を受けることが必須です。
[キスマーク]汗孔角化症の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科、皮膚腫瘍(しゅよう)科、小児科の医師による診断では、典型的な皮膚の症状では、見た目でも確定できます。
 尋常性乾癬(かんせん)、表皮母斑(ぼはん)、疣贅(ゆうぜい)、扁平苔癬(たいせん)、日光角化症などの疾患と鑑別する必要があり、区別が難しい時は、皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる生検をすることがあります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科、皮膚腫瘍科、小児科の医師による治療では、確立された治療法
は存在していないため、遮光のほか、外用薬や内服薬の使用、外科的な処置をします。
 しかし、治療に抵抗性を示し、なかなか治療効果が出なかったり、再発したりすることが多く見受けられます。皮膚がんに移行した場合は、手術による治療が必要です。
 外用薬は、主にサリチル酸ワセリンや尿素軟こうといった角質溶解剤、ビタミンD3軟こう、保湿剤を用います。内服薬としては、レチノイド(エトレチナート)を用いることがあります。
 外科的な処置などによる治療としては、液体窒素による凍結療法、切除手術による治療のほか、炭酸ガス(CO2)レーザーやルビーレーザーなどのレーザー治療を行うことがあります。

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■用語 日光口唇炎 [用語(に)]

[キスマーク]日光照射が原因で生じる日光角化症が口唇に生じたもの
 日光口唇炎とは、長い年月にわたって日光に当たったことが原因で生じる口唇炎の一種。光線性口唇炎、慢性日光口唇炎とも呼ばれます。
 太陽の光線である日光に含まれる紫外線を受けやすい顔面、耳、前腕、手の甲、頭部の皮膚に好発する日光角化症(光線角化症)が口唇に生じたもので、炎症性疾患ではなく腫瘍(しゅよう)性病変で、前がん性の皮膚変化と考えられています。
 日光角化症が有棘(ゆうきょく)細胞がんにまで発展するケースは1%と見なされているのに対して、日光口唇炎は有棘細胞がんにまで発展するケースが11%の可能性があるとの報告もあり、発症した場合には、高リスク型の前がん性の皮膚変化と認識した上で、適切に管理することが不可欠となります。
 日光角化症は、長年にわたって慢性的に日光に含まれる紫外線、特に中波長紫外線を受けることにより、皮膚の表皮細胞のDNAに傷ができるのが、その原因と考えられています。
 日光に含まれる紫外線は肉眼では見えませんが、皮膚に最も大きな影響を与えます。体がビタミンDを作り出すのを助ける働きがあるので、少量ならば紫外線は有益なものの、大量に浴びると遺伝物質であるDNAが損傷を受け、皮膚細胞が作り出す化学物質の量と種類が変わってしまうのです。
 とりわけ口唇は人のみにみられる特殊な皮膚とされ、組織学的にも汗腺(かんせん)や毛包などの皮膚付属器を欠如しています。また、メラニンという皮膚の色を濃くする色素を作り出すメラノサイトは少なく、皮膚の最も表面にあってケラチンからなる角質層(角層)は薄いといった組織的特徴があります。
 これらの組織的な理由に加え、人は直立するため、最も紫外線を多く有する真昼の直射日光を口唇、特に下唇は垂直に浴びることになり、下唇は紫外線の影響を強く受けると考えられます。
 ゆえに、日光口唇炎にかかると、表皮基底細胞層での異常増殖が生じるため、主に下唇が赤くはれ、膨張したり、水疱(すいほう)となったりします。膨張や水疱とならなかった場合には、下唇が全体にわたってひび割れを起こしたり、かさかさと乾燥したり、かさぶたができたり、出血したりする症状もみられます。
 水疱や乾燥によるかゆみの誘発や、水疱が破れた時の痛みも症状の1つです。ヒリヒリとした痛みが続くこともあり、苦痛を感じます。
 口唇の表層の角質層がダメージを受けるため、バリア機能が正常に作用せず、唾液(だえき)や飲み物などの刺激によって強い痛みを感じることも少なくありません。また、口唇周囲の皮膚にまで症状が波及することもあります。
 発症者は中高年層がほとんどで、男性のほうが女性より多い傾向があります。女性に少ない理由は、戸外の労働が男性よりも少ないため紫外線の蓄積照射量が少ないこと、口紅の使用によって紫外線が防御されることが挙げられています。
[キスマーク]日光口唇炎の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、目視での口唇の視診と患者への問診が主な方法になります。問診では、症状が出始めた時期、アレルギーの有無、過去の病歴などをカウンセリング方式で質問していきます。
 口唇の回りの部位にも何らかの症状が出ていないか視診し、場合によっては口腔(こうくう)内も検査対象になります。
 日光口唇炎自体は生命に問題はないものの、有棘細胞がんに発展すれば、その予後は不良であるため、診断は有棘細胞がんの発生の予防につながるという意味で重要です。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、通常、局所麻酔は行わず、液体窒素を浸した綿棒などを腫瘍性病変に押し付けて凍結、壊死させて除去する凍結療法を施します。簡便な処置法ですが、凍結時にかなり強い痛みを伴います。また、多くの場合、数回の処置が必要となります。
 高齢者では、液体窒素による凍結療法やCO2レーザー(炭酸ガスレーザー)照射なども行います。
 有棘細胞がんに発展している可能性がある場合は、局所麻酔を行い、腫瘍性病変をメスで切除する外科切除を施します。下唇全体を筋層上で切除した場合は、後面の口唇粘膜を1センチほど剥離(はくり)して、引き上げるように下唇の皮膚と単純縫合します。
 薬物療法として、抗がん剤の1種であるフルオロウラシル入りのローションやクリーム、または、皮膚の免疫系を活性化し、強い炎症を起こすことでがん細胞を除去する効果があるイミキモド(ベセルナクリーム)を腫瘍性病変に塗ることもあります。
 フルオロウラシル入りのローションやクリームは、1日2回単純に塗布するか、1日1回塗布後にラップ類で密封します。イミキモドは、1日1回、週3回、患部に直接塗布します。
 薬物療法は、塗り薬の副作用で皮膚が荒れて、びらん、痛みが出ることがありますが、治療に伴うものであるため頻度を調節して継続すると、多くは症状が軽快します。
 治療後は、再発の予防のため、口唇への長時間の直射日光照射を避けることも重要で、サンスクリーン剤(日焼け止め化粧品)の使用が勧められます。

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■用語 基底細胞がん [用語(き)]

[キスマーク]表皮の最下層の基底層から発生する皮膚がん
 基底細胞がんとは、皮膚がんの一種で、表皮の最下層である基底層の細胞や、皮膚付属器である毛包などを構成する細胞から発生するがん。
 基底細胞がんは、日本人の皮膚がんにおいて最も多いがんに相当し、皮膚がん全体の約24%を占めます。基底細胞がんと新たに診断される人数は、1年間に10万人当たり約4人。
 多くは高齢者に発生し、7割以上が顔面、特に顔の中心寄りの鼻やまぶたなどに発生します。
 放置すると局所で周囲の組織を破壊しながら進行することがあるものの、リンパ節や内臓へ転移をすることは非常にまれです。
 初期症状として最も多いのは、黒色から黒褐色の軽く盛り上がった皮疹(ひしん)の発生で、ほとんどの人がほくろと勘違いします。その後、通常は数年かかってゆっくりと大きくなり、次第に硬い腫瘤(しゅりゅう)を形成します。
 進行すると、腫瘤の中心部は陥没して潰瘍(かいよう)となり、かさぶたが繰り返しできたり、出血しやすい状態となることがあります。これが、「結節型」と呼ばれる日本人に多いタイプの基底細胞がんです。
 まれに、「斑状(はんじょう)強皮症型」と呼ばれる、やや光沢のある薄い紅色や白色で傷跡(瘢痕〈はんこん〉)に似た状態のものや、「表在型」という境界が鮮明な紅斑で表面にかさぶたのようなポロポロと落ちる皮膚のついた状態のものなど、がんには見えないようなものもあります。
 基底細胞がんは、その症状から主に「結節型」、「斑状強皮症型」、「表在型」、「浸潤型」、「微小結節型」の5つに分類されますが、実際には、これらの混合型が多くみられ、これらに当てはまらない型もあります。
 通常、痛みやかゆみなどの症状はありません。
 基底細胞がんの明らかな原因はわかっていませんが、発症の要因として、紫外線や外傷、やけどの跡(熱傷瘢痕)、放射線による慢性皮膚障害などが挙げられています。
 今までなかったほくろや黒い染みが発生して次第に大きくなってきたなど、気になる部位が発生した際は自己判断したり、取り除こうとして指でいじったりせずに、皮膚科専門医を受診することが勧められます。早期の受診が、早期治療につながります。
[キスマーク]基底細胞がんの検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科、皮膚腫瘍科などの医師による診断では、目で見て病変を調べる視診で、色、表面の性状を確認し、腫瘍の幅や高さを計測します。
 指で触れて病変を調べる触診では、硬結や癒着、可動性の有無を腫瘍の周辺の皮膚から少しつまみ上げるようにして調べます。
 日本人では大部分が色素を持つタイプの基底細胞がんであるため、同じように色素を持つ悪性黒色腫などの他の皮膚疾患と見分けることが必要となります。多くの場合は、特殊なルーペを用いたダーモスコピーという検査によって診断が可能です。それでも確定診断が難しい場合は、局所麻酔を行い、皮膚病変の一部を切り取って顕微鏡で調べる生検を行います。
 その他必要に応じて、病変の広がりを調べるために、超音波、CT、MRI、X線などの画像検査を行います。
 皮膚科、皮膚泌尿器科、皮膚腫瘍科などの医師による治療では、基底細胞がんの進行の程度や体の状態などから方法を検討しますが、手術による外科的切除が第一選択となります。初回の手術で病変が完全に切除できれば、根治する可能性は非常に高くなります。
 腫瘍を確実に切除するためには、腫瘍の辺縁から正常皮膚を含めて大きく切除します。実際の切除範囲は、再発に関して低リスクの場合は腫瘍の辺縁から4ミリ程度、高リスクの場合には5〜10ミリ離して切除します。
 また、腫瘍の下部組織も十分に含めた深さで切除します。高リスクの「斑状強皮症型」、「浸潤型」、「微小結節型」の場合、もしくは腫瘍が大きい場合には、より深いところまでの切除を必要とすることがあります。
 高リスクの「斑状強皮症型」、「浸潤型」、「微小結節型」の場合は、手術中に切除した組織の切り口に対して病理診断を行い、腫瘍が残っていないか確認します。切り口に腫瘍が残っている場合は再発リスクが高くなるため、手術後早期に再切除します。再切除が難しい場合には、放射線を照射する放射線治療が考慮されます。
 手術による皮膚の欠損が大きくなった場合には、植皮や皮弁などの再建手術を行います。
 高齢者の場合、切除が困難な部位に発生した場合、合併症などで手術が難しい場合は、放射線治療を適用することがあります。しかし、切除する治療である手術に比べると、腫瘍が残ってしまったり、その結果として再発しやすかったりするため、手術が勧められない場合に実施されることが多くなっています。
 また、薬物療法として、抗がん剤の1種であるフルオロウラシル入りのローションやクリーム、または、皮膚の免疫系を活性化し、強い炎症を起こすことでがん細胞を除去する効果があるイミキモド(ベセルナクリーム)を腫瘍に塗ることもあります。
 フルオロウラシル入りのローションやクリームは、体幹や四肢に発生した「表在型」基底細胞がんに対して使用されることがあり、1日2回単純に塗布するか、1日1回塗布後にラップ類で密封します。
 イミキモドは、手術が難しい「表在型」基底細胞がんの場合に使用されることがあり、1日1回、週3回、患部に直接塗布します。
 薬物療法は、塗り薬の副作用で皮膚が荒れて、びらん、痛みが出ることがあります。

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■用語 有棘細胞がん [用語(ゆ)]

[キスマーク]表皮の有棘層の細胞ががん化する皮膚がん
 有棘(ゆうきょく)細胞がんとは、表皮の有棘層の細胞ががん化する皮膚がん。日本人に多い皮膚がんの1つで、基底細胞がんに次いで発生頻度が高くなっています。
 皮膚は、表面から表皮、真皮、その深部の皮下組織の3層から構成されています。表皮は、さらに表面側から順に、角質層、顆粒(かりゅう)層、有棘層、基底層の4層に分けられます。表皮の最下層である基底層は、真皮と接しています。真皮には、血管、神経、毛嚢(もうのう)、脂腺(しせん)、汗腺、立毛筋などの組織があります。
 有棘細胞がんは、表皮の中間層を占める有棘層を構成する細胞から発生します。
 長年にわたり日光に含まれる紫外線を浴び続けた顔面、耳、前腕、手の甲などの皮膚に、光線角化症(日光角化症)と呼ばれる、かさつきのある紅斑(こうはん)ができることがあります。口唇、主に下唇にも同じような病変ができることがあり、光線性口唇炎(日光口唇炎)と呼ばれます。光線角化症と光線性口唇炎は、ごく早期の有棘細胞がんに相当し、がん細胞は表皮のみにとどまり、表皮内がんとも呼ばれます。また、原因が特定できない表皮内がんをボーエン病と呼びます。
 光線角化症、光線性口唇炎、ボーエン病のいずれも進行すると、皮膚の深部に浸潤し、角質を多く含む組織に変化する角化を伴う腫瘍(しゅよう)や潰瘍(かいよう)を形成し悪臭を伴うようになり、リンパ節転移や遠隔転移を起こすことがあります。
 有棘細胞がんの原因として最も多いのは日光に含まれる紫外線、特に中波長紫外線に長期間にわたって当たることですが、やけどの跡(熱傷瘢痕〈はんこん〉)、放射線による皮膚炎、慢性の炎症(骨髄炎、褥瘡〈じょくそう〉、膿皮〈のうひ〉症など)、パピローマウイルスの感染、タールの長期暴露、慢性ヒ素中毒など、さまざまな原因で有棘細胞がんが発生することがあります。
[キスマーク]有棘細胞がんの検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科、皮膚腫瘍科の医師による診断では、視診で見当がつきますが、診断を確定するためには、局所麻酔をして皮膚病変の一部を切り取り切り顕微鏡で調べる生検と、これまでの生活歴の把握が必要です。
 そのほかに、腫瘍の浸潤の深さや転移など、病変の広がりを調べるために、超音波(エコー)検査を始め、CTやMRI、PETと呼ばれる画像検査を行うこともあります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科、皮膚腫瘍科の医師による治療では、光線角化症やボーエン病のような表皮内がんの段階であれば、病変の切除で完治します。
 また、顔や頭部に発生した光線角化症では、病変の切除のほかに、イミキモド(ベセルナクリーム)による外用治療が可能な場合もあります。イミキモドを塗布すると皮膚の免疫系を活性化し、強い炎症を起こすことでがん細胞を除去する効果があります。欠点として、塗布した皮と膚が荒れて、びらん、痛みが出ることがあること、治療期間が2〜4カ月と比較的長いことが挙げられます。また、角化が強い場合は効果がないことがあります。
 有棘細胞がんに進行した場合は、原則として手術により切除します。病変の進行度にもよりますが、通常、病変辺縁より0・5〜2センチ程度離して切除します。切除後の皮膚欠損が大きくなった場合には、植皮や皮弁などの再建手術を行います。
 再発の危険性が高い場合は、手術後に放射線治療を追加することがあります。また、手術ができない場合や遠隔転移がある場合は、放射線治療、抗がん剤治療を単独あるいは組み合わせて行います。
 放射線を照射する放射線治療は、手術に比べ根治率はやや劣るものの比較的高い効果があり、有棘細胞がんにもしばしば適用されています。しかし、切除する治療である手術に比べると、がん細胞が残ってしまったり、その結果として再発しやすかったりするため、体の調子がよくないなど手術ができない場合に行われたり、目の周囲などがんが発生した部位などの理由から手術が勧められない場合に実施されることが多くなっています。また、最初に手術した結果、顕微鏡の検査で取り切れなかったことが確認された場合に、再手術の代わりに放射線治療が行われることもあります。
 抗がん剤治療は通常、手術不可能な進行例に適用します。また、化学放射線療法として、放射線治療と組み合わせて同時に行うことがあります。
 病気の進行を遅らせることを目標にした抗がん剤治療として、主にシスプラチン(カルボプラチン)とアドリアシン(エピルビシン)を併用するCA療法のほか、イリノテカン(CPTー11)などが使用されています。しかし、有棘細胞がんに対する効き目が得られないこともあります。

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■用語 光線性口唇炎 [用語(こ)]

[晴れ]日光照射が原因で生じる光線角化症が口唇に生じたもの
 光線性口唇炎とは、長い年月にわたって日光に当たったことが原因で生じる口唇炎の一種。日光口唇炎、慢性日光口唇炎とも呼ばれます。
 太陽の光線である日光に含まれる紫外線を受けやすい顔面、耳、前腕、手の甲、頭部の皮膚に好発する光線角化症(日光角化症)が口唇に生じたもので、炎症性疾患ではなく腫瘍(しゅよう)性病変で、前がん性の皮膚変化と考えられています。
 光線角化症が有棘(ゆうきょく)細胞がんにまで発展するケースは1%と見なされているのに対して、光線性口唇炎は有棘細胞がんにまで発展するケースが11%の可能性があるとの報告もあり、発症した場合には、高リスク型の前がん性の皮膚変化と認識した上で、適切に管理することが不可欠となります。
 光線角化症は、長年にわたって慢性的に日光に含まれる紫外線、特に中波長紫外線を受けることにより、皮膚の表皮細胞のDNAに傷ができるのが、その原因と考えられています。
 日光に含まれる紫外線は肉眼では見えませんが、皮膚に最も大きな影響を与えます。体がビタミンDを作り出すのを助ける働きがあるので、少量ならば紫外線は有益なものの、大量に浴びると遺伝物質であるDNAが損傷を受け、皮膚細胞が作り出す化学物質の量と種類が変わってしまうのです。
 とりわけ口唇は人のみにみられる特殊な皮膚とされ、組織学的にも汗腺(かんせん)や毛包などの皮膚付属器を欠如しています。また、メラニンという皮膚の色を濃くする色素を作り出すメラノサイトは少なく、皮膚の最も表面にあってケラチンからなる角質層(角層)は薄いといった組織的特徴があります。
 これらの組織的な理由に加え、人は直立するため、最も紫外線を多く有する真昼の直射日光を口唇、特に下唇は垂直に浴びることになり、下唇は紫外線の影響を強く受けると考えられます。
 ゆえに、光線性口唇炎にかかると、表皮基底細胞層での異常増殖が生じるため、主に下唇が赤くはれ、膨張したり、水疱(すいほう)となったりします。膨張や水疱とならなかった場合には、下唇が全体にわたってひび割れを起こしたり、かさかさと乾燥したり、かさぶたができたり、出血したりする症状もみられます。
 水疱や乾燥によるかゆみの誘発や、水疱が破れた時の痛みも症状の1つです。ヒリヒリとした痛みが続くこともあり、苦痛を感じます。
 口唇の表層の角質層がダメージを受けるため、バリア機能が正常に作用せず、唾液(だえき)や飲み物などの刺激によって強い痛みを感じることも少なくありません。また、口唇周囲の皮膚にまで症状が波及することもあります。
 発症者は中高年層がほとんどで、男性のほうが女性より多い傾向があります。女性に少ない理由は、戸外の労働が男性よりも少ないため紫外線の蓄積照射量が少ないこと、口紅の使用によって紫外線が防御されることが挙げられています。
[晴れ]光線性口唇炎の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、目視での口唇の視診と患者への問診が主な方法になります。問診では、症状が出始めた時期、アレルギーの有無、過去の病歴などをカウンセリング方式で質問していきます。
 口唇の回りの部位にも何らかの症状が出ていないか視診し、場合によっては口腔(こうくう)内も検査対象になります。
 光線性口唇炎自体は生命に問題はないものの、有棘細胞がんに発展すれば、その予後は不良であるため、診断は有棘細胞がんの発生の予防につながるという意味で重要です。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、通常、局所麻酔は行わず、液体窒素を浸した綿棒などを腫瘍性病変に押し付けて凍結、壊死させて除去する凍結療法を施します。簡便な処置法ですが、凍結時にかなり強い痛みを伴います。また、多くの場合、数回の処置が必要となります。
 高齢者では、液体窒素による凍結療法やCO2レーザー(炭酸ガスレーザー)照射なども行います。
 有棘細胞がんに発展している可能性がある場合は、局所麻酔を行い、腫瘍性病変をメスで切除する外科切除を施します。下唇全体を筋層上で切除した場合は、後面の口唇粘膜を1センチほど剥離(はくり)して、引き上げるように下唇の皮膚と単純縫合します。
 薬物療法として、抗がん剤の1種であるフルオロウラシル入りのローションやクリーム、またはイミキモド(ベセルナクリーム)を腫瘍性病変に塗ることもあります。フルオロウラシル入りのローションやクリームは、1日2回単純に塗布するか、1日1回塗布後にラップ類で密封します。イミキモドは、1日1回、週3回、患部に直接塗布します。
 薬物療法は、塗り薬の副作用で皮膚が荒れて、びらん、痛みが出ることがありますが、治療に伴うものであるため頻度を調節して継続すると、多くは症状が軽快します。
 治療後は、再発の予防のため、口唇への長時間の直射日光照射を避けることも重要で、サンスクリーン剤(日焼け止め化粧品)の使用が勧められます。

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■用語 光線角化症 [用語(こ)]

[晴れ]長期間、紫外線を受けて起こる前がん性の皮膚変化
 光線角化症とは、長い年月にわたって日光紫外線を受けたことが原因で起こる前がん性の皮膚変化。日光角化症、老人性角化腫(しゅ)とも呼ばれます。
 日光紫外線を受けやすい顔面、耳、前腕、手の甲の皮膚、頭部に好発します。直射日光を受けて急性に起こるいわゆる日焼けとは異なり、長い年月にわたって慢性的に日光紫外線、特に中波長紫外線を受けることにより表皮細胞のDNAに傷ができるのが、その原因と考えられています。
 日光に含まれる紫外線は肉眼では見えませんが、皮膚に最も大きな影響を与えます。体がビタミンDを作り出すのを助ける働きがあるので、少量ならば紫外線は有益なものの、大量に浴びると遺伝物質であるDNAが損傷を受け、皮膚細胞が作り出す化学物質の量と種類が変わってしまうのです。
 発症者の年齢は、中高年層がほとんど。性差は、やや男性に多い傾向があります。日焼けの際に皮膚に紅斑(こうはん)を生じやすい人のほうが、褐色変化する人よりもなりやすいと見なされています。白色人種に比べて黒色人種、黄色人種では発症率が低く、日本人での発症率については沖縄県が高いという報告もあります。
 症状としては、黄褐色のかさぶたを伴う大きさ1〜3cmの紅褐色の皮疹(ひしん)が現れることが多く、角化した部分はかさかさしたうろこ状となり、ぼろぼろむけます。色が濃くなったり、灰色がかったりすることもあり、触れると硬く感じられます。周囲の皮膚は薄くなり、多少の赤みがあります。皮疹が1カ所だけにできることも、複数の部位にできることもあります。
 軽度のかゆみを訴えるケースもありますが、皮疹以外に自覚症状を来すことはまれ。皮疹は自然に消えることもあれば、同じ部位や別の部位に再発することもあります。
 老人性のいぼと間違いやすいので注意が必要なものの、前がん性の皮膚変化といっても実際に、扁平(へんぺい)上皮がん、または有棘(ゆうきょく)細胞がんにまで発展するケースは、数パーセントにとどまります。
 有棘細胞がんに発展した場合は、治療せず放置していると命にかかわることもあります。
[晴れ]光線角化症の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、光線角化症では、いぼ(脂漏性角化症あるいは尋常性疣贅〔ゆうぜい〕)などと紛らわしいことがありますので、疑わしい場合は病変の一部を切り取って組織検査をする皮膚生検を行います。
 組織所見に基づいて、光線角化症を委縮性、ボーエン病様、棘(きょく)融解性、肥厚性、色素性に分類することもあります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、通常、局所麻酔は行わず、液体窒素を浸した綿棒などを病変に押し付けて凍結、壊死させて除去する凍結療法を施します。簡便な処置法ですが、凍結時にかなり強い痛みを伴います。また、多くの場合、数回の処置が必要となります。
 高齢者や角化部分の多発例では、液体窒素による凍結療法やCO2レーザー(炭酸ガスレーザー)照射なども行います。
 角化傾向の強い病変の場合や、有棘細胞がんに発展している可能性がある場合は、局所麻酔を行い、病変をメスで切除する外科切除を施します。
 薬物療法として、抗がん剤の1種であるフルオロウラシル入りのローションやクリーム、またはイミキモド(ベセルナクリーム)を病変に塗ることもあります。フルオロウラシル入りのローションやクリームは、1日2回単純に塗布するか、1日1回塗布後にラップ類で密封します。イミキモドは、1日1回、週3回、自分で患部に直接塗布します。薬物療法は、塗り薬の副作用で皮膚が荒れて、びらん、痛みが出ることがありますが、治療に伴うものであるため頻度を調節して継続します。
 治療後も、外科切除の取り残しがないことや再発の有無をみるため、定期的な経過観察が必要です。
 日常生活での注意点としては、一見正常にみえる皮膚も日光紫外線のダメージをすでに受けているので、新たな病巣を生じないためにも、サンスクリーンを使用するとともに帽子などで直射日光を避けるようにします。日光の紫外線が最も強いのは、1日の中では午前10時から午後3時までの日中、季節では夏、地域では海抜の高い場所です。

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■東京都、新型コロナに311人が感染 1カ月間の感染者は9857人に上る [健康ダイジェスト]

 東京都は11月30日、都内で新たに10歳未満から90歳代までの男女合わせて311人が、新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。11月の1カ月間に感染が確認されたのは9857人となり、月ごとでは8月の8125人を上回って過去最多となりました。
 一方、都の基準で集計した30日時点の重症の患者は70人となり、今年5月に緊急事態宣言が解除された以後では最も多くなりました。
 新規感染者311人を年代別でみると、10歳未満が7人、10歳代が17人、20歳代が68人、30歳代が51人、40歳代が69人、50歳代が32人、60歳代が27人、70歳代が14人、80歳代が23人、90歳代が3人。
 月曜日は、土曜日や日曜日に休診の医療機関が多いため、発表人数が比較的少ない傾向がありますが、30日の311人は、月曜日としては1週間前の314人に次いでこれまでで2番目に多くなりました。
 311人のうち、約56%に当たる174人は、これまでに感染が確認された人の濃厚接触者で、約44%の137人は、これまでのところ感染経路がわかっていないということです。
 濃厚接触者の内訳をみると、「家庭内」が最も多く69人、次いで「施設内」が45人、「職場内」が12人、「会食」が11人、「夜間営業する接待を伴う飲食店の関係者」が5人などとなっています。
 このうち、施設内では、武蔵野市にある「吉祥寺南病院」で入院患者と職員合わせて27人の感染が確認され、都に報告されたのは33人になりました。
 3連休中にゴルフや会食に出掛けた人たちの感染も、相次いでいるといいます。
 これで都内で感染が確認されたのは、合わせて4万939人に上りました。
 東京都によりますと、都内で30日までに感染が確認された4万939人のうち、入院中の人は、29日より81人増えて1661人。入院患者のうち、都の基準で集計した30日時点の重症の患者は、29日より3人増えて70人となり、今年5月に緊急事態宣言が解除された以後では最も多くなりました
 重症の患者を年代別にみると、70歳代が29人、80歳代が14人、60歳代が13人、50歳代が12人、40歳代が2人となっています。
 都の担当者は、「50歳代以上の感染確認が増えているのに比例して重症者が増えていると思われる。一気に増えると医療現場も対応に苦労する可能性があり非常に心配だ。50歳代以上の感染を減らすことが重要だ。いろいろ専門家の意見があるかもしれないが、我々としては都内の重症者用の病床は、医療機関から報告を受けている150床を確保していると認識している。70人まで増えているが、受け入れられないという話は聞いてないので、医療機関でまだ対応できると認識している」としています。
 一方、30日現在、自宅で療養している人は1015人となり、初めて1000人を超えました。
これについて、都の担当者は「無症状の人と10歳代以下が増えていることが要因として考えられる」と話しています。
 また、東京都は、感染が確認されていた60歳代の女性が死亡したと明らかにしました。都内で死亡した人は、合わせて489人になりました。

 2020年12月1日(火)

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