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■暑さに負けない水分補給に経口補水液を 熱中症の治療や予防効果 [健康ダイジェスト]

 私たちの体は6割ほどが水で、体内の水分が減ると「脱水」状態になり、血液がドロドロになって栄養分や老廃物を運びづらくなるほか、汗をかきづらくなって体温調節が難しくなります。熱中症にもなりかね
ません。
 体重の2%の水分が失われると、のどが渇き始めます。5%を超すと、嘔吐(おうと)や意識障害を起こします。高齢者は体内の水分量が少ない上、のどの渇きも感じづらくなるとされるので、水分補給にはより気を使いたいところです。
 激しいスポーツや炎天下での作業をしないような日常生活の水分補給には、「まずは食事が大事」と早稲田大学の永島計教授(環境生理学)はいいます。私たちの体は1日に2・0~2・5リットルの水分が出入りしており、しっかり3食をとれば、このうち0・5~1・0リットルを補えるといいます。
 ご飯やパン、汁物、おかずをバランスよく食べることで、さまざまな栄養も一緒に体に入ります。人の体は就寝時も呼吸や皮膚からの蒸発、発汗によって水分が失われるので、「朝食を抜くことは特に危ない」と永島教授は指摘します。
 では、食事以外の1・5~2・0リットルの水分は、どうとればいいのか。人には大量の水をためる機能はないので、こまめに飲むことが大事です。コーヒーは「カフェインの利尿作用で、尿の量が増える」ともいわれるものの、実は科学的根拠はないといいます。「1日に5杯程度までなら、カフェイン中毒の心配はない」。アルコールには利尿作用があるほか、体内で分解される時に脱水作用が起きます。「ビールをゴクゴク飲むのは最初の1杯までにして、2杯目からは水と交互に飲みましょう」。
 水分や塩分が汗として大量に失われる激しい運動時や、屋外で活動をする時は、スポーツドリンクや経口補水液がよいといいます。ナトリウムなどの電解質や糖質を補給できて小腸からの吸収効率もよく、体内で水分が保持されます。ただ「通常の日常生活ではそこまで意識しなくても心配ない」といいます。
 とはいえ、最近はスーパーやドラッグストアの店頭にも経口補水液が並び、つい手に取りたくなります。経口補水製品の市場規模は、2015年度の71億円から2018年度には113億円に伸びました。
 2014年から経口補水製品「アクアソリタ」を販売する味の素(東京中央区)家庭用事業本部の郷家(ごうけ)敏・ニュートリションケアグループ長は、「猛暑だった昨夏は、多くの問い合わせをいただいた」と振り返ります。熱中症の治療や予防効果が知られるようになり、関心が高まったとみています。
 スポーツドリンクは電解質も含みますが、運動時のエネルギー補給が主な目的で、糖質が多めなのが特徴です。一方、経口補水液は体液の成分に近い電解質と糖質を補給でき、もともとは発展途上国で感染症による脱水の治療に使われていました。
 経口補水液の電解質や糖質の量は、メーカーによって異なります。味の素の場合、電解質の濃度は体液よりやや低く、糖質との割合によって吸収効率を上げています。塩分量の多いものほど深刻な脱水などの緊急時に向くものの、同社のものは日常でも飲みやすいのが特徴といいます。
 市販の経口補水液は、500ミリリットルのペットボトルで180~200円程度。ほかの飲料に比べてやや高価ですが、「経済性も考慮しながら、必要に応じて日常の水分補給の一助にしてもらえれば」と同グループの福山晶美(てるみ)さん。夏バテで食欲が落ちた時や、お酒を飲んで寝る前などがお勧めだといいます。血圧が高く塩分制限が必要な人は、「成分表で塩分量を確認して飲んでほしい」としています。

 2019年7月28日(日)

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■肺がん、新たな治療法が続々生まれる 死亡リスク低減に期待 [健康ダイジェスト]

 日本人のがんの死者数で最も多い肺がんは、次々と新たな治療法が生まれており、生存率の改善に期待が高まっています。
 患者数が多い病院では、外科手術による切除だけでなく、体に備わる免疫の仕組みを生かす「免疫チェックポイント阻害剤」と抗がん剤の併用や、抗がん剤による全身治療後の外科手術など、複数の手法を組み合わせる治療法に力を入れています。
 2017年の肺がんによる死者数は、男女合わせて約7万4000人を数えています。たばこを吸わない人も発症しており、過去10年間で13%増加し、がん全体の2割を占めます。
 肺がんの8割を占めるのが「非小細胞がん」というタイプで、早期の場合は、手術で切除するのが標準的な治療法。進行して切除できない場合は、抗がん剤や放射線治療で対応します。
 全体の2割程度を占める「小細胞がん」というタイプは、手術が可能な早期に発見されることは少なく、抗がん剤治療が中心となり、放射線治療を併用することもあります。
 肺がんの化学療法では、がんの増殖にかかわる分子に狙いを定めて増殖を阻害する分子標的薬のほか、免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」や「キイトルーダ」などが開発され、効果を上げています。
 肺がんの診療を中心とした医療を行っていることで知られる札幌南三条病院(札幌市中央区)が取り組んでいる試みの一つは、キイトルーダと抗がん剤の併用療法です。
 厚生労働省は昨年12月、進行した非小細胞がんの最初の治療法として、キイトルーダと2種類の抗がん剤の併用療法を承認。臨床試験では、肺がんで最も多い「腺がん」と増殖が速い「大細胞がん」で、通常の抗がん剤治療より死亡リスクが51%低減しました。喫煙との関連が大きいとされる「扁平上皮がん」のリスクも36%低くする効果がありました。
 キイトルーダは外来で投与するのが一般的ですが、札幌南三条病院では抗がん剤の副作用に対応するため患者は入院して治療を受けます。点滴を3週間ごとに4回実施し、その後は抗がん剤の種類を2種類から1種類に減らし、外来治療に移ります。
 対象は最も進行した4期の患者が中心で、放射線治療ができない3期の患者を対象にすることもあります。副作用を警戒し、全身状態の悪い患者などは対象としていないといいます。
 藤田昭久副院長は、「現在までに併用による新たな副作用はなく、これまでの化学療法で見たことがないような劇的な効果が出ている」といいます。同病院では、化学療法を受ける新規患者の2割程度が対象となっていますが、藤田副院長は「徐々に対象を拡大すれば、5割程度が治療対象になるかもしれない」と話しています。
 一方、がんが進行して切除できない患者も切除する研究が進んでおり、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で取り組んでいるのが「サルベージ手術」です。
 坪井正博・呼吸器外科長は、「進行がんの患者では目に見える腫瘍だけ切除しても早期に再発するだけと考えられていた。化学療法が進歩した現在では、薬の効果がある時に手術することで、生存期間がより延びる可能性がある」といいます。
 現在は標準治療ではないため、同病院は臨床研究の準備を進めています。アメリカで進行中の研究で、同種の治療法により約4割のがん患者に再発リスクを減らす効果があったといいます。
 同病院で対象としているのは、腫瘍が手術だけで取り切れない3期の患者と、転移が3カ所以内の4期の患者。3~4週間に1回の抗がん剤治療を4~6回繰り返した後に手術をします。抗がん剤だけでなく免疫チェックポイント阻害剤を使ったり、外科手術の代わりに放射線治療をしたりするケースもあります。
 肺周囲の器官にがんが広がっている場合、同病院では他院と連携した複合的な手術にも取り組んでいます。
 昨年1月には、肺上部から背骨の円柱部分(椎体)にがんが広がった患者の手術を実施し、人工の椎体に置き換える全置換手術は国際医療福祉大三田病院(東京都港区)の整形外科が担当しました。心臓などの太い血管に浸潤した場合は、近隣の新東京病院(千葉県松戸市)などと連携しています。
 国立がん研究センター東病院の坪井・呼吸器外科長は「その道のトップクラスの医師を集めて最大限の治療をする。がんセンターは地域のがん治療の最後のとりで。リスクがある手術でも、患者に十分に説明した上で取り組んでいく」としています。
 肺がんの外科手術では、患者の負担を和らげるための手法が定着しています。その代表例が、内視鏡の一つ「胸腔(きょうくう)鏡」を使った手術。数センチの小さな穴を切開し、カメラを差し入れて、モニター画面を確認しながら手術を行います。
 坪井・呼吸器外科長は、「通常の開胸手術をする場合も、事前に胸腔鏡で患部の様子を探る。もはや胸腔鏡を用いない手術はない」と語ります。患部に手指を入れずに行う完全胸腔鏡下手術は、全体の2~3割を占めるといいます。
 開胸手術も、患者の負担を減らす工夫が進んでいます。国立がん研究センター東病院のがん情報サービスによると、胸部の皮膚を15~20センチほど切開して肋骨の間を開く方法が一般的でしたが、10センチ以下の切開で、体の負担が少ない方法が行われるようになっています。

 2019年7月28日(日)

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■加熱式たばこ、健康リスク軽減につながらず WHOが規制を呼び掛け [健康ダイジェスト]

 世界保健機関(WHO)は、近年普及している火を使わない「加熱式たばこ」について、有害物質が少ないことが強調されているものの、必ずしも健康上のリスクを軽減させることにはつながらないと指摘し、従来のたばこと同じように規制をするよう呼び掛けました。
 WHOは26日、喫煙に関する世界各国の規制状況についての報告書を公表しました。
 この中で、公共の場での喫煙の禁止、他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙対策、たばこ税の導入など、何らかの喫煙規制対策を導入する国は2年間で15カ国増えて136カ国になり、規制への意識が高まっていると評価しました。
 加熱式たばこについては、従来のたばこに比べ有害性が少ないことが強調されているものの、従来のたばこと同じ有害物質が含まれることには変わりなく、必ずしも健康上のリスクを軽減させることにはつながらないほか、受動喫煙の有害性も否定できないと指摘しました。
 その上で、国ごとに加熱式たばこへの規制状況が異なるとして、従来のたばこと同じように規制するよう呼び掛けました。
 たばこ大手は近年、新たな顧客を開拓するため電子たばこや加熱式たばこ製品を積極的に売り込んできました。各社はこうした新製品について、従来のたばこよりも格段に危険性が低く、一部の喫煙者については「より安全な」代替品への完全な切り替えを促せると主張しています。
 しかし、スイスのジュネーブで会見したWHOの専門家は、「たばこ業界は加熱式たばこは禁煙促進効果があるとも主張しているが科学的証拠は示されていない。若者が『これなら安全だ』とたばこに手をする切っ掛けにもなっている」と述べ、広告の在り方にも警鐘を鳴らしました。

 2019年7月27日(土)

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■本庶氏が小野薬品を提訴へ オプジーボ特許使用料を巡り [健康ダイジェスト]

 がん免疫治療薬「オプジーボ」の特許使用料などを巡り、本庶佑(ほんじょ・たすく)京都大学特別教授が製造販売元の小野薬品工業(大阪市中央区)に分配金150億円の支払いを求めて、大阪地裁に提訴する方針を固めたことが27日、明らかになりました。
 小野薬品側の再提案を待って、9月にも最終判断します。特許使用料を巡る両者の対立は、法廷闘争に発展する可能性が強まりました。本庶氏は、「一日も早く良好な産学連携関係を取り戻したい」などとコメントしました。
 本庶氏の代理人弁護士によると、本庶氏が問題にするのは、小野薬品とアメリカでオプジーボを販売するブリストル・マイヤーズスクイブが、アメリカ製薬大手メルクに起こした特許侵害訴訟で、2017年の和解時にメルクと決めた対価の支払い配分について。
 弁護士によると、小野薬品は本庶氏に訴訟への協力を求めた際、メルクから受け取る金額の10%を対価に支払うと提案。その後撤回したといいます。
 小野薬品は現在、本庶氏に支払う対価26億円を法務局に供託しているものの、本庶氏はメルク支払い分の対価が今年3月末時点で、当初の提案より150億円少ないとし、差額を求める意向です。
 これとは別に本庶氏は、小野薬品が販売するオプジーボの売り上げから得る対価も不当に低いと主張。提訴の可能性もあるとしています。
 小野薬品は昨年11月、対価は見直さず、新たに京都大へ寄付する方針を本庶氏に伝え、「寄付の枠組みの中で、株主の意見も踏まえながら新しい提案を行い、交渉したい」と話しました。
 本庶氏は弁護士を通じて、「大学と企業が対立状態にあると社会も株主も損失を被る。小野から再提案がなく訴訟になれば、裁判所の判断を仰ぎつつ、一日も早く良好な産学連携関係を取り戻したい」とコメントしました。
 オプジーボは、患者自身の免疫の力を使う新しいメカニズムで作用するがん治療薬。1992年に本庶氏らが基となる物質を発見し、小野薬品工業と共同で関連特許を取得。2014年、皮膚がんの一種「悪性黒色腫(メラノーマ)」の治療薬として、世界に先駆けて日本で製造販売が承認されました。その後、患者数の多い肺がんなどに保険適用が拡大。世界では65カ国以上で製造販売が承認されています。本庶氏は2018年、オプジーボ開発につながった研究成果でノーベル医学・生理学賞を受賞。

 2019年7月27日(土)

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