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■肺疾患発症率、電子たばこは1・3倍で紙巻きたばこは2・6倍 カリフォルニア大学が研究 [健康ダイジェスト]

 電子たばこの使用により、ぜんそく、気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの慢性肺疾患の発症リスクが著しく増加するとの研究結果が16日、医学誌「アメリカンジャーナル・オブ・プリベンティブ・メディシン」に発表されました。ただ、発症率でみると、電子たばこは紙巻きたばこよりも害が少ないこともわかったといいます。
 アメリカのカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームは、電子たばこと紙巻きたばこの利用と、2013~2016年の成人3万2000人以上の肺疾患に関する公開データを調べました。
 この結果、電子たばこの利用者および過去に利用経験がある人は、一度もたばこを吸ったことがない人に比べ慢性肺疾患の発症率が1・3倍だったことがわかりました。一方、紙巻きたばこの喫煙者の発症率は2・6倍、電子たばこと紙巻きたばこの両方を利用している人の発症率は3倍でした。
 論文の主執筆者であるスタントン・グランツ教授(医学)は、「電子たばこはそれ自体が有害であり、従来のたばことは異なる影響がある」と説明しました。
 今回の論文では、電子たばこによる害に対する生物学的説明はされていません。生物学的説明については、電子たばこが免疫系を抑制し、肺内のストレス関連タンパク質濃度を上昇させることを動物と人間の実験で明らかにした過去の研究を引用しています。
 電子たばこを推奨する人々は、電子たばこは紙巻きたばこに比べ害が少ないため喫煙者にとって代替物となると主張しています。だが、グランツ教授によると、調査の参加者の大半は紙巻きたばこと電子たばこの両方を利用していたといいます。
 グランツ教授は、「紙巻きたばこから電子たばこへ切り替えることで肺病リスクを減少させることが可能だが、実行する人はほとんどいない。大半の人は、紙巻きたばこに加え電子たばこも吸うようになる。これにより、肺病発症リスクが著しく増加する」と指摘しています。

 2019年12月22日(日)

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■線虫でがんを早期発見する検査技術の実用化に成功 東京都のベンチャー企業 [健康ダイジェスト]

 嗅覚が優れた「線虫」という生物に、人の尿のにおいをかがせて、がんを早期に発見する検査技術の実用化に成功したと東京都のベンチャー企業が17日、発表しました。これまでに行った臨床試験ではがんかどうかを高い精度で見分けられたということで、年明けから各地の医療機関で受けられるようにするとしています。
 東京都のベンチャー企業、「HIROTSUバイオサイエンス」は、目がない代わりに嗅覚が発達していて、がん患者の尿のにおいに集まる特性を持つ、体長1ミリほどの線虫を使って、がんを早期に発見する技術の開発を進めてきました。
 全国の大学や医療機関で臨床試験を行った結果、1滴の尿から、極めて早期のがんでも約85%の確率で発見できたということで、17日、会社の代表が技術開発に対する助成金を出した福岡県を訪れて実用化に成功したと報告しました。
 早ければ来年1月から各地の医療機関で1万円ほどを負担すれば検査を受けられるようにするということで、どこの医療機関で検査を受けられるかは今後、会社のウェブサイトで公開するとしています。
 この検査では、がんかどうかはわかるとしていますが、がんの種類まではわからないということで、別の検診や検査で確認することが必要だということです。
 広津崇亮代表取締役は、「がん検診の受診率の向上にこの新技術が役立つことを期待しています」と話しています。
 線虫は、土の中や海の中に生息するものや、人に寄生するものなどさまざまな種類が自然界に存在します。今回、がんを早期発見する技術に使われたのは、主に土の中に生息し、生物学の研究でも広く使われる「シー・エレガンス」という線虫。この線虫は、目がない代わりに嗅覚が発達しており、この嗅覚で餌を見付けたり、天敵を避けたりします。
 線虫ががん患者の尿に集まる詳しいメカニズムはわかっていませんが、大腸菌やバクテリアといった「線虫が好む餌のにおい」と、「がん細胞から出る特有のにおい」が似ているためとみられています。
 検査では、プレートに置いた1滴の尿に線虫がどれぐらい集まったかを数えて、がんがあるかどうかを判定します。
 胃がんや大腸がん、乳がんなど合わせて15種類のがんがあるかどうかがわかるということですが、どの種類のがんなのかは判別できないため、さらに詳しい検査が必要です。
 会社によりますと、がんが臓器の一部にとどまっているステージ1までの早期のがんの場合、腫瘍マーカーと呼ばれる血液を使った検査方法だと発見される確率は10%程度ですが、線虫を使った検査では約85%の確率で発見できたということです。
 会社では、がんの種類を判定する特殊な線虫を開発するなど、さらに研究を進めるということです。
 がんを早期に発見する最大のメリットは、治療できる可能性が高まることです。がんが1つの臓器にとどまっている早期に見付けることができれば、手術や放射線でがんを取り除くなどして、患者が亡くなるリスクを下げることができます。
 国立がん研究センターがまとめた全国のがん拠点病院などのデータでは、がんと診断されてから5年後の生存率は、例えば胃がんの場合、がんがほかの臓器にも転移するなどしているステージ4では8・9%、がんが胃の一部にとどまっているステージ1では94・7%となっています。
 その一方で、がんの早期発見が「過剰診断」につながるケースもあります。例えば進行が遅いがんだったり、患者が高齢だったりした場合、がんそのものは患者の命にかかわらない可能性がありますが、がんが見付かれば治療が行われることが多く、その際、手術や抗がん剤などの治療で副作用が出るなど、患者が不利益を被ることもあると指摘されています。
 また、検診や検査でがんの可能性があるとされた後、精密検査で本当にがんであると診断されるのは、がんの種類によって差はあるものの、一部にとどまる場合が多いとされ、精密検査の結果を受け取るまで精神的な負担を強いられることになります。
 これは、本当はがんではないのにがんの可能性があるとされる「偽陽性」と呼ばれ、がん検診の精度を高める上での課題となっています。
 国立がん研究センターの中山富雄検診研究部長は、「がんによっては、早期に見付けても治療が必要な大きさになるまで数年かかるものもある。その場合、治療までの期間患者さんの精神的な負担は非常に大きく、うつ状態になる人もいる。とにかく早く見付ければよいというものではなく、患者さんの生活の質をより高めるためにどのように結果を生かすのか、合わせて考える必要がある」と話しています。

 2019年12月22日(日)

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