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■AIを使って前立腺がん患者の画像を分析 高精度で再発の可能性予測 [健康ダイジェスト]

 人工知能(AI)を使って前立腺がん患者の画像を分析し、再発の可能性を高い精度で予測できたと理化学研究所などの研究チームが18日、発表しました。AIによって、これまで知られていなかったがんの再発とかかわると見なされる細胞の特徴も見付けられたということです。
 この研究は、理化学研究所の山本陽一朗チームリーダーと日本医科大学の木村剛准教授らの研究チームが行い、科学雑誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表しました。
 研究チームは、AIに患者100人分の前立腺の組織の画像を読み取らせ、がんがどこにあるのかなどの答えを与えないまま、「ディープラーニング」の技術で学習させました。
 その結果、AIは自らがんの特徴などを割り出し、これまで知られていなかった、がんの周囲にある細
胞が集まる密度が再発のしやすさにかかわっている可能性があることも見付けたとしています。
 これをもとに、前立腺の組織の画像、約1万5000枚を分析し、がんが再発したかどうかの情報と照らし合わせると、これまでより高い精度でがんの再発が予測できていたということです。
 医師の診断と合わせることで、高い精度で再発が予測できるということで、山本チームリーダーは、「AIを使って人間がたどり着けなかった新たながんの特徴を発見できた。今後、他のがんや、希少な病気にも応用できないか研究を進めたい」と話しています。
 AIは、医療現場への導入が進められており、特に、患者の画像から病気があるかどうか見付ける画像診断の分野で研究開発が盛んに行われています。
 画像診断は、医師が知識と経験に基づいて患者の画像などを見て行っていますが、AIを利用して医師の診断を支援することで、病気の見落としなどのミスを防ぎ、より精度の高い診断ができるようになることが期待されています。
 これまでに、各地の医療機関や大学、企業が胃がんや肝臓がんなどの診断を正確に素早く行えるAIのシステムを開発したと発表しており、今年10月には、AIが自ら学習する「ディープラーニング」の技術を活用し、脳の画像から病気を見付けるシステムが、医療機器として国の承認を受けました。
 AIを活用することで、高齢化や医療の高度化などによって多忙になっている医療現場で診断を効率的に行い、医療従事者の負担を軽減できると考えられています。
 さらに、今回の研究で前立腺がんの再発につながる細胞の特徴が新たに見付かったように、これまでの研究でわからなかったことが、AIによって明らかになることもあり、今後も医療現場でAIを活用する動きは強まっていきそうです。

 2019年12月21日(土)

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■西高東低の医師偏在、格差1・94倍 徳島県が最多で埼玉県が最少 [健康ダイジェスト]

 厚生労働省は19日、全国の医師数が2018年末時点で32万7210人に上り、過去最多を更新したと発表しました。人口10万人当たりの病院や診療所で働く医師数は、最多の徳島県と最少の埼玉県の格差が1・94倍となり、改めて地域による医師偏在が浮き彫りとなりました。
 調査は2年に1度実施。2016年の前回調査に比べ、医師の総数は7730人増加しました。また、女性の割合も過去最高を更新し、前回比0・8ポイント増の21・9%に上りました。
 人口10万人当たりの病院や診療所で働く医師数は、全国平均が246・7人(前回比6・6人増)。都道府県別にみると、最多の徳島県(329・5人)、京都府(323・3人)、高知県(316・9人)など24都府県が、全国平均を上回りました。一方、最も少なかった埼玉県は169・8人にとどまり、西日本が多く、東日本が少ない「西高東低」の傾向がみられました。
 厚労省地域医療計画課は、「医師の偏在を解消するため、都道府県の医師確保策を支援していく」としています。

 2019年12月21日(土)

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■全ゲノム解析、がん患者と難病患者9万2000人分を先行解析 厚労省方針       [健康ダイジェスト]

 患者のすべての遺伝情報を調べて、効果的な治療や新しい薬の開発につなげる「全ゲノム解析」について、厚生労働省は20日、今後の実行計画を公表しました。これから3年ほどかけて、がん患者と難病患者の最大で9万2000人分を先行的に解析する方針です。
 ゲノム医療は患者の遺伝情報を調べて最も適した薬を探し出すなどして治療につなげるもので、これまでは解析する遺伝情報の対象が一部に限られ、治療に十分生かせていないなどと指摘されていました。
 これを受けて厚労省は、がん患者と難病患者について、すべての遺伝情報を分析する「全ゲノム解析」を国として進めていくことになり、20日、その実行計画を公表しました。
 まず、今後3年程度をめどにいずれも最大でがん患者の約6万4000人分と難病患者の約2万8000人分を先行的に解析していくとしています。
 このうち、がんでは5年生存率が相対的に低い難治性のがんや、小児がんなどの希少がんの患者、難病では筋ジストロフィーやパーキンソン病などの患者の遺伝情報が対象となります。
 研究機関などに保存されている検体や、新たに患者から提供された検体を患者の同意を得た上で解析する方針です。
 厚労省は、全ゲノム解析を行ってデータを集めることで、効果的な治療や診断、新しい薬の開発につなげていきたいとしています。
 厚労省が全ゲノム解析を進めるのは、一人一人の患者の治療の精度などを高めていきたいという狙いがあります。
 がんでは、今年6月に、ゲノム医療が初めて保険適用され、手術などの標準治療では効果が期待できない人などを対象に遺伝子検査が本格的に始まりました。
 しかし、厚労省の調査では今年6月から10月までに医療保険を使って遺伝子検査を受けた患者805人のうち、効果が期待できる薬が見付かったのは88人と、全体の10・9%にとどまっています。
 その大きな原因の1つは薬の開発が進んでいないこととされており、厚労省は全ゲノム解析を進めることで、新薬の開発などにもつなげて治療に結び付く人を増やしていきたいとしています。
 厚労省によりますと、諸外国では国家プロジェクトとして、ゲノム医療や研究が進められています。
 イギリスでは昨年までに、がんや希少な病気を対象に10万人分の全ゲノム解析を実施し、2023年までに100万の全ゲノム解析の実施を目指しています。
 また、アメリカでも、2015年から遺伝子などに関する個人ごとの違いに考慮した予防や治療を確立するための取り組みを進めています。
 こうした諸外国の動きを参考に、日本でも今回初めて全ゲノム解析の実行計画が策定されました。
 がんゲノムを研究している国立がん研究センターの間野博行研究所長は、「さまざまな病気に関係する遺伝子の変異は、人種によって、起きる頻度などに大きな差があることも多い。患者のプライバシーを守りながら、日本人のゲノムを網羅的に解析していくことが国内のゲノム医療を進めていく上で重要だ」と話しています。

 2019年12月20日(金)

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