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■用語 剥脱性口唇炎  [用語(は)]

[キスマーク]唇の皮が繰り返して、はがれ続ける疾患
 剥脱(はくだつ)性口唇炎とは、唇が乾燥して皮がめくれたり、はがれたり、赤くなったり、ひび割れたり、かさぶたがみられたりする疾患。難治性で、症状が繰り返し出現し、治るまでに時間がかかることも少なくありません。
 原因ははっきりしませんが、自分の舌で唇を繰り返しなめる、もしくは自分の手指で唇の皮をむしるなどの物理的な刺激による炎症と考えられています。大人より子供のほうが舌で唇をなめる機会が多く、子供がかかりやすい口唇炎であることから、別名で「舌なめずり口唇炎」あるいは「落屑(らくせつ)性口唇炎」と呼ばれることもあります。
 唇が乾燥している状態であり、舌で唇をなめると唾液(だえき)で一時的に潤ったように感じられますが、舌なめずりのような刺激が繰り返し加わることで、唇の油分が減り、唾液に含まれる消化酵素が乾燥を助長し、唇の皮膚の表層にある角質層がはがれやすくなります。その結果、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が早まり、角質層が正常に形成されないため、外部からの刺激や異物の侵入から守ったり、内側に蓄えている水分が逃げないようにしたりする皮膚のバリア機能が失われた状態となります。
 唇は極度に乾燥し、それによってさらに舌なめずりを繰り返すことで、症状が悪化するという悪循環を生じます。唇の皮がめくれたり、はがれたり、赤くなったり、ひび割れたり、かさぶたがみられたりするほか、出血などの症状がみられるようになります。また、口角に亀裂(きれつ)が入ったり、唇の内側の皮がむけたりするなど周囲の皮膚にまで炎症が波及することもあります。唾液や飲み物などの刺激によって、ヒリヒリ感、痛み、かゆみを生じることもあります。
 特に冬季などの空気が乾燥した時期に、剥脱性口唇炎は起こりやすくなります。
 剥脱性口唇炎は時に大人にもみられ、栄養不足、ビタミンの欠乏、精神的な背景なども原因になることもあります。
 感染症による口唇炎を伴うケースもあり、唇に水疱(すいほう)ができるものはヘルペスなどのウイルス感染、白い苔(こけ)のようなものが唇に付着するものはカンジダなどによる真菌感染、ただれが強いものは細菌感染が考えられ、強い痛みやはれ、発熱などが現れることもあります。
[キスマーク]剥脱性口唇炎の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、剥脱性口唇炎と確定するためには、アレルギー性の接触性口唇炎、いわゆる、かぶれを除外することが必要です。かぶれの原因として、食べ物や口紅、リップクリーム、歯磨き粉、治療で使用している外用薬などが考えられるので、これらに対しパッチテストを行い、かぶれかどうかを判断します。
 また、口の中にいる一般的なカビであるカンジダや細菌、ウイルスなどの感染を伴うこともあり、それぞれ治療法が異なるので、検査を行います。
 剥脱性口唇炎と同じような症状を示す特殊な疾患として粘膜苔癬(たいせん) があるので、この疾患を除外するために、唇の組織を一部切り取って顕微鏡で調べる生検を行うこともあります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、ワセリンなどの保湿剤を使用し、炎症が強い時はステロイド剤(副腎〈ふくじん〉皮質ホルモン剤)や非ステロイド剤の外用薬を使います。また、栄養バランスに気を付け、ビタミン、特にビタミンB2、B6を補うことも治療の一つとなります。
 感染症による口唇炎を伴っている場合には、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬など、それぞれの病原体に適した塗り薬や内服薬を使用します。
 精神的な原因が背景にある場合には、抗うつ剤の内服薬の使用で改善するケースもありますが、無意識のうちに舌で唇をなめたり、皮をむしったりしてしまうことがあって、治りにくくなるので、ストレスをためないなど日常生活を工夫することも大切です。

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■用語 肉芽腫性口唇炎 [用語(に)]

[キスマーク]唇が全体的にはれ上がり、再発の繰り返しもある疾患
 肉芽腫(にくげしゅ)性口唇炎とは、唇が全体的にはれ上がる特徴的な変化を示す疾患。 痛みを伴うことはありませんが、再発を繰り返すことも少なくありません。また、この肉芽腫性口唇炎では、舌の表面に多数の溝(みぞ)ができる溝状舌(こうじょうぜつ)を伴ったり、顔面神経まひを同時に発症したりすることもあり、特にメルカーソン・ローゼンタール症候群と呼ばれています。
 肉芽腫性口唇炎は、男女差なく発症し、若年者から中高年者に多くみられます。
 肉芽腫が形成される原因は完全には明らかになっておらず、不明な点も多く残っています。原因の一つとしては、虫歯や歯周病など口腔(こうくう)内の疾患が挙げられます。
 また、歯科治療において使用する歯冠や矯正具などの金属が唾液(だえき)と反応してイオン化し、イオン化した金属がアレルゲンとなってアレルギー反応を起こすことも、肉芽腫が形成される原因の一つであると推定されています
 そのほかにも、遺伝的要因や食物アレルギー、自律神経失調、消化管に炎症が起きるクローン病なども関与していると考えられています。さまざまな原因が複合的に関与することで、肉芽腫が形成されるとも推定されています。
 肉芽腫性口唇炎を発症すると、非乾酪(ひかんらく)性類上皮細胞肉芽腫と呼ばれる特徴的な組織変化によって、突発的に唇がはれ上がります。唇の全体がはれることもあれば、上唇や下唇が限局的にはれることもあり、唇の周囲の皮膚にもはれがみられることもあります。
 痛みやかゆみを伴うことは、ありません。はれは数時間から数日で改善することもありますが、時間経過とともに再び、はれ上がり、再発することも少なくありません。何回も再発を繰り返すうちに、徐々に弾性のある硬いはれ上がりとなっていくこともあります。
 何カ月も症状が持続している人には、一度、皮膚科や口腔内科、歯科口腔外科に相談してみることが勧められます。
[キスマーク]肉芽腫性口唇炎の検査と診断と治療
 皮膚科、口腔内科、歯科口腔外科などの医師による診断では、唇の組織変化を確認するために、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる生検を行います。
 発症の背景にある疾患を確認するためには、慢性の病巣感染の有無についての検査、金属パッチテスト、アレルギー検査(血液検査)、パノラマX線(レントゲン)撮影(虫歯の検査)、便検査、消化管内視鏡検査などを適宜、行います。
 皮膚科、口腔内科、歯科口腔外科などの医師による治療では、発症する原因がはっきりせず必ず効果があるという処置法は確立されていないため、個々の症状、検査結果に応じて、発症に関与していると考えられる原因への標準的な処置を時には組み合わせて行います。
 虫歯や歯周炎など口腔内の疾患が原因であると考えられる場合は、その治療を行います。金属パッチテストで陽性を示した場合は、歯科治療のための金属の除去を検討します。対症療法的に抗ヒスタミン薬を用いることもあります。
 唇で生じている異常反応を抑えることを目的として、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド)や、アレルギー反応を抑えるトラニラストなどの治療薬を用いることもあります。
 このような内科的な保存的治療で十分な効果が得られない場合には、症状の固定から1年以上経過した時点で、外科的に病変部位を切除することも検討されます。

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■用語 メルカーソン・ローゼンタール症候群 [用語(め)]

[キスマーク]口唇のはれ上がり、溝状舌、顔面神経まひの3つを特徴とする疾患
 メルカーソン・ローゼンタール症候群とは、口唇が大きくはれ上がる肉芽腫(にくげしゅ)性口唇炎、舌の表面に多数の溝(みぞ)ができる溝状舌(こうじょうぜつ)、顔面神経まひという3つの症状が特徴の疾患。
 1928年にスウェーデンの神経科医のE・メルカーソンが口唇のはれ上がりと再発性顔面神経まひのある疾患を報告し、その後、C・ローゼンタールが遺伝的素因と溝状舌を加えました。これらを含めたのが、メルカーソン・ローゼンタール症候群です。
 3つの症状が特徴ですが、発症時に3つの症状がすべて現れることはまれです。口唇のはれ上がりには、痛みを伴いませんが、顔面神経まひの影響で表情が変化します。口唇のはれ上がりのほか、頬(ほお)、眼瞼(がんけん)、前額にも、はれ上がりや紅潮の病変が生じることがあります。顔面神経まひは再発性で、片側だけに起こることも多く、末梢(まっしょう)型です。
 病変の強さはさまざまで、症状は慢性的に経過します。口唇のはれ上がりは数日で元通りになりますが、何回も再発を繰り返すうちに、徐々に弾性のある硬いはれ上がりとなっていきます。
 メルカーソン・ローゼンタール症候群が引き起こされる原因としては、主に口腔(こうくう)内に存在する虫歯が悪化することが挙げられています。虫歯が悪化し口腔内の神経に影響を及ぼすことで、発症するケースが多くなっています。歯科治療のための歯冠や矯正具の金属にアレルギーを起こして、発症するケースもあります。
 また、鼻や副鼻腔の疾患が悪化することでも発症するリスクが存在しており、歯周炎や鼻炎、扁桃(へんとう)炎など口や鼻の疾患によっても症状が引き起こされています。
[キスマーク]メルカーソン・ローゼンタール症候群の検査と診断と治療
 歯科口腔外科、口腔内科などの医師による診断では、膨張した口唇から組織の一部を採取し顕微鏡で調べる生検を行います。
 そのほか、慢性の病巣感染の有無についての検査や、歯科金属貼付(ちょうふ)試験なども行います。また、血液検査などによって、ビタミン欠乏などの状態も調べます。
 歯科口腔外科、口腔内科などの医師による治療では、虫歯や歯周炎、鼻炎、扁桃炎などが原因である場合は、その治療を行います。
 顔面神経まひによって顔のはれ上がりが再三にわたって起こる場合は、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド)の内服、ないし局所注射を行います。
 歯科金属貼付試験で陽性を示した場合は、歯科治療のための金属を速やかに除去します。対症療法的に抗ヒスタミン薬の内服を行うこともあります。
 舌の表面に多数の溝ができる溝状舌を生じている場合には、清潔にするために舌ブラシなどを使い舌苔(ぜったい)を取り除きます。舌苔を取り除いてもすぐに復活してしまう場合には、洗浄液を用いて口腔内にいる細菌を除去し、舌苔だけでなく雑菌も除去しておきます。
 舌ブラシで舌苔を除去する時は軽くこすることが大切で、舌の表面に負担をかけないようにします。

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■用語 地図状舌 [用語(ち)]

[キスマーク]舌の表面部分に淡紅色の地図状の模様が生じる状態
 地図状舌(ちずじょうぜつ)とは、外から見える舌の表面部分である舌背部(ぜっぱいぶ)に、淡紅色の地図のような1ミリから3ミリの模様が生じる状態。良性移動性舌炎、良性遊走性舌炎、遊走輪、遊走疹(しん)とも呼ばれます。
 一見、舌の粘膜が赤くただれたような外観を示すことから、何か重症な病気にかかったのではないかと心配する人も少なくありませんが、その実態は舌背部の粘膜にある多数の微小な小突起である糸状乳頭の角化異常なので、それほど心配する必要はありません。
 健康な舌の表面部分は、舌乳頭の1つで味覚を感知する糸状乳頭の小突起でびっしり覆われており、しっとりした滑らかな白い苔(こけ)が生えているようにみえます。これが角化異常により部分的に委縮、消失し、平たんでつるつるした淡紅色のまるで地図のようなまだら模様になってしまう状態が、地図状舌です。
 地図のようなまだら模様は融合、拡大、委縮、消失を繰り返し、あたかも移動するように見え、その模様の形態、位置は、日々変化するのが特徴です。
 多くは自覚症状がなく、痛みは生じません。不快感、違和感が主な症状で、舌に強い刺激を加えることで痛みや、ピリピリする、染みるといった症状が生じる場合もあります。
 地図状舌の原因は、まだ解明されていません。体質異常、精神身体的障害、内分泌障害、消化器系障害、遺伝などいろいろ疑われていますが、定かではありません。気管支炎、鼻炎、喘息(ぜんそく)などとの関連性もいわれています。
 かかりやすいのは、幼児と若い女性で、特に若い女性は月経との関連が指摘されています。
 良性の病変で数日から数週間で自然に治ることもありますが、全体的には極めて慢性の経過を示し短期間での自然治癒、あるいは治療は望めません。
 地図状舌は見た目がインパクトのある形態を示し、形態が日々変化するため、不安に感じる人も少なくありません。そういった場合は、まず専門医を受診することが勧められます。舌の異常が地図状舌とわかれば、不安も解消されます。地図状舌ではなく、別の病気である可能性も考えられますので、専門家の判断に委ねるのが一番です。
[キスマーク]地図状舌の検査と診断と治療
 歯科口腔外科、口腔内科、歯科などの医師による診断では、舌の表面に特徴的な形成異常が出現するため、基本的には視診と問診を実施します。カンジダ症との鑑別も行います。
 歯科口腔外科、口腔内科、歯科などの医師による治療では、特に大きな問題がなければ経過観察します。
 舌の痛みが強い場合は、鎮痛薬を投与したり、殺菌効果のあるうがい薬を用いたり、キシロカインビスカスなどの局所麻酔薬の塗布もありますが、極めて慢性の傾向を示すので一時的な対症的処置はあまり意味がありません。特に炎症所見の強い時には、塩化リゾチーム剤などの消炎剤を投与します。
 舌の痛みや、ピリピリする、染みるといった症状がある場合は、熱い食べ物、香辛料、アルコール、たばこなどによる舌の局所的な刺激を避けてもらうこともあります。

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