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■新型コロナウイルス、国内感染者3422人に 新たに292人の感染者を確認 [健康ダイジェスト]

 東京都は4日、都内で新たに118人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表するなど、4日は午後10時半の時点で、全国で292人の感染が発表され、日本で感染が確認された人は、空港の検疫で見付かった人やチャーター機で帰国した人なども含めて3422人となっています。このほかクルーズ船の乗客・乗員が712人で、合わせると4134人となります。
 また、4日は東京都で5人、岐阜県で1人が死亡し、死亡した人は国内で感染した人が83人、クルーズ船の乗船者が11人の合わせて94人となりました。
 日本で感染が確認された3422人のうち、東京都は891人、大阪府は346人、神奈川県は238人、千葉県は235人、愛知県は211人、北海道は193人、兵庫県は190人、埼玉県は160人、福岡県は146人、京都府は109人、茨城県は54人、岐阜県は47人、福井県は46人、新潟県は35人、大分県は32人、群馬県と高知県は26人、石川県と奈良県は24人、和歌山県は22人、愛媛県と宮城県は20人、熊本県は19人、栃木県と静岡県と滋賀県は17人、沖縄県は16人、広島県は14人、三重県と福島県は13人、青森県と山梨県と秋田県と長野県と長崎県は11人、富山県と岡山県は10人、山形県と宮崎県は8人、山口県は7人、佐賀県は6人、徳島県と鹿児島県は3人、香川県は2人です。
 このほか、中国からチャーター機で帰国した人が14人、厚生労働省の職員や検疫官、それに空港の検疫で感染が確認された人などが合わせて75人です。
 厚生労働省によりますと、重症者は3日の時点で、国内で感染した人などが64人、クルーズ船の乗船者が9人の合わせて73人となっています。
 一方、3日までに症状が改善して退院した人などは、国内で感染した人などが514人、クルーズ船の乗客・乗員が619人の合わせて1133人となっています。

 2020年4月4日(土)

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☐用語 気象病 [用語(き)]

[雨]気象の変化が原因で症状が出現したり、悪化したりする一連の疾患
 気象病とは、気象の変化や一定の気象条件下で、症状が出現したり、悪化したりする一連の疾患。
 体調不良、気分の落ち込み、頭痛、めまい、関節痛、古傷の痛みなどの症状が代表的で、患者数は増加傾向にあり、1000万人以上が悩んでいるとの推計もあります。
 主な原因は、気温や湿度ではなく、気圧の変化です。飛行機に乗ったり、エレベーターで移動したりすると、耳がおかしく感じることがあります。耳の鼓膜の奥には、気圧の変化を感じる内耳という器官があり、脳は内耳から伝わった情報を基に、周囲の環境に体を順応させようとします。
 しかし、内耳のセンサーが敏感に反応しすぎると、わずかな気圧の変化でも脳に過剰な情報が伝わってしまいます。この結果、自律神経が乱れて、体にさまざまな変調が起きます。
 自律神経のうち交感神経が活発になると痛みを感じ、副交感神経が活発になるとだるくなったり眠くなったりします。心臓発作やぜんそくなどの持病が悪化する恐れもあり、軽く考えるのは禁物です。
 気圧の変化が急なほど、気象病の症状が強く出現します。中には気圧が上昇する時に症状を訴える人もいますが、多くの人が症状を訴えるのは気圧が低下する時です。
 特に気象病の症状が出やすい季節は、雨をもたらす低気圧が定期的に通過する春や秋、梅雨時、そして台風が日本付近に接近する晩夏から秋にかけて。冬に低気圧が日本の南岸を通過すると、太平洋側に雪が降ることがありますが、この時に症状を訴える人もいます。
[雨]気象病の治療と予防
 耳鼻科、神経内科、あるいは気象病外来/天気痛外来の医師による治療では、気象病の予兆であるめまいが出るタイミングで、抗めまい薬を服用することが効果的です。抗めまい薬には、内耳のリンパ液の循環をよくする働きがあり、内耳の状態を整えて、内耳のセンサーが敏感に反応するのを抑えます。
 抗めまい薬と同様の「ジフェニドール」などの成分が入った乗り物酔い止め薬を服用するのも効果があります。乗り物酔い止め薬は、薬局などで市販されています。
 漢方薬を使う場合もあります。五苓散(ごれいさん)には、気圧の低下で体内に貯留する水分の循環をよくする作用があり、抗めまい薬と似た効果があります。抑肝散(よくかんさん) には、神経の高ぶりを抑えたりする作用があります。
 気象病の改善に効くとされるツボも、手や足にあります。
 ただ、抗めまい薬などで気象病の元になる持病までは治らず、それぞれの持病に対応した治療が必要なことはいうまでもありません。
 普段から内耳のリンパ液の循環をよくしておけば、自律神経が整い、気象病の予防や改善につながります。その点で、マッサージも有効で、両耳を軽くつまんで、上下横に5秒ずつ引っ張ったり、耳を横に引っ張りながら後ろに回したりします。
 また、家庭用の気圧計などを使って、毎日の天気、気圧、体調の変化を記録し、気象病の症状がいつ出るのかを予測すれば、あらかじめ薬で対処できます。地域ごとに気象病に注意すべきタイミングをスマートフォンなどで知らせてくれるアプリもあります。
 自律神経を整えるためには、十分な睡眠、適度な運動も不可欠で、規則正しい生活を心掛けます。

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☐用語 自己免疫性溶血性貧血 [用語(し)]

[蟹座]赤血球に結合する自己抗体ができて、赤血球の寿命が著しく短縮し、貧血を来す疾患
 自己免疫性溶血性貧血とは、自身の赤血球膜上の抗原に結合する自己抗体ができて、赤血球が異常に早く破壊されて起こる貧血。
 自己抗体は自分の体の成分に対する抗体で、本来は細菌などから体を守るために抗体は作られ、自分の体に対しては作られませんが、自己免疫疾患と呼ばれる一連の疾患では、自己抗体が出現し赤血球をまるで異物であるかのように攻撃します。
 赤血球に自己抗体が結合し、補体と共同して血管内で赤血球を破壊するものと、自己抗体や補体を介して主に脾臓(ひぞう)で破壊されるものがあります。
 この自己抗体による赤血球の破壊は、突然起こることもあれば、ゆっくりと進行することもあります。人によっては、このような破壊がしばらくすると止まることがあります。また、赤血球の破壊が止まらず、慢性化する人もいます。
 自己免疫性溶血性貧血には、いろいろな病型があり、原因もさまざまです。主な病型は2種類あり、37度の正常体温付近で抗体の結合が強いものを温式自己免疫性溶血性貧血、正常体温以下の特に4度で抗体の結合が強いものを冷式自己免疫性溶血性貧血と呼びます。
 自己免疫性溶血性貧血の発症者は全国で1300~1700人を数え、1年間に数百人程度の新たな発症者が発生していると推定されています。このうち、温式自己免疫性溶血性貧血の発症者が9割を占め、冷式自己免疫性溶血性貧血の発症者は1割です。
 子供から高齢者までの幅広い年齢で、発症します。温式自己免疫性溶血性貧血は、小児期に1つの小さなピークがあるほか、10~30歳の若年層、50歳以後に増加し70歳代がピークの老年層に多くみられます。若年層では女性が優位で、老年層では男女差は認められません。
 原因は自分の赤血球膜上の抗原と反応する自己抗体ができることによるのですが、なぜ抗原抗体反応が起こるのかはまだ明らかではありません。膠原(こうげん)病などの自己免疫疾患の患者や、リンパ腫(しゅ)などの悪性腫瘍(しゅよう)の患者で、この自己免疫性溶血性貧血がみられることがあります。また、マイコプラズマ肺炎の患者にも、冷式自己免疫性溶血性貧血がみられることがあります。
 疾患の発症に、遺伝性はありません。
 特に赤血球の破壊が軽度で緩やかに進む場合は、症状がみられないことがあります。それ以外では、主な症状は貧血によるもので、だるさ、動悸(どうき)、息切れ、めまい、頭痛、顔面蒼白などが現れます。
 赤血球の破壊が重度な場合や急速な場合は、血液の中にヘモグロビン(血色素)の分解産物であるビリルビンがたまるため、白目の部分や肌が黄色く見える軽い黄疸(おうだん)がみられることもあり、腹部に不快感や膨満感を覚えたりします。脾臓がはれたり、濃い色を示すヘモグロビン尿がみられることもあります。慢性に経過すると胆石症を合併することも知られています。
 冷式自己免疫性溶血性貧血では、手や足が冷たくなったり、青みがかったりすることがあります。冷式自己免疫性溶血性貧血のうちのまれなタイプである発作性寒冷血色素尿症では、気温の低下、冷水の飲用や洗顔・手洗いなど、寒気にさらされる部分が小さくても赤血球が破壊されることがあり、背中や脚に激しい痛みが生じたり、頭痛、嘔吐(おうと)、下痢がみられることもあります。暗褐色を示すヘモグロビン尿がみられることもあります。
 原因が別の疾患によるものであれば、リンパ節のはれや圧痛、発熱など、原因になっている基礎疾患の症状が主に現れることがあります。
[蟹座]自己免疫性溶血性貧血の検査と診断と治療
 小児科、内科、血液内科などの医師による診断では、 血液検査を行って、貧血であることを確認し、自己免疫反応の原因を特定します。
 血液検査で未熟な赤血球(網状赤血球)の数が増加していれば、赤血球の破壊が進んでいることが疑われます。あるいは、血液検査から、ビリルビンが増加し、ハプトグロビンという蛋白(たんぱく)質が減少していることがわかる場合もあります。
 原因として自己免疫性溶血性貧血の診断が確定するのは、血液検査で特定の抗体の量が多いことが確認された場合で、このような抗体は、赤血球に付着している抗体、または血液の液体成分に含まれる抗体のいずれかです。赤血球を破壊する自己免疫反応の原因を突き止めるため、そのほかの検査を行うこともあります。
 小児科、内科、血液内科などの医師による治療では、副腎(ふくじん)皮質ステロイドホルモン薬の服用が有効です。最初に高用量の服用から始め、数週間ないし数カ月かけて徐々に減量していきます。
 赤血球を破壊している臓器である脾臓の手術による摘出や、免疫抑制薬の服用も補助的な手段として行われます。赤血球の破壊が激しく貧血が強い場合は、輸血が必要になる時もありますが、輸血は貧血の原因を治療するものではなく、一時的な対症療法にすぎません。
 冷式自己免疫性溶血性貧血では、寒さを避け保温に努めることが重要な治療法となります。保温に配慮した服装や寝具を利用するように気を付け、室温に注意し、手足や顔の露出部分が寒気にさらされないように注意を払います。時に免疫抑制薬が有用なこともあります。
 また、別の疾患に合併して起きている時は、原因になっている基礎疾患の治療によりよくなることがあります。
 症状が軽い場合や赤血球の破壊速度が遅くなっている場合は、自然経過で治癒することがあります。多くの症例は、中~長期間の薬物治療が必要となります。治療によって疾患の活動性が抑えられれば、 正常な日常生活が送れます。
 なお、ほかの自己免疫疾患やリンパ腫などの疾患を合併していない温式自己免疫性溶血性貧血の場合は、診断から5年後の生存率は約80%、10年後は約70%です。しかし、高齢者では予後不良です。

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☐用語 サラセミア [用語(さ)]

[蟹座]正常なヘモグロビンを作ることができず、貧血を起こす疾患
 サラセミアとは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)の合成障害によって、貧血を来す疾患。地中海貧血とも呼ばれます。
 血液にはさまざまな細胞が含まれ、骨の中心にある骨髄で作られます。ヘモグロビンは赤血球の主要な構成要素であり、肺から各臓器や組織に酸素を運び、不必要になった二酸化炭素を持ち帰って、肺から外に出すなど重要な働きをしています。合成障害によって正常なヘモグロビンの産生が不足すると、全身に運ばれる酸素の量が減少し、体が酸素不足になって貧血を起こし、めまいや、立ちくらみが現れたりします。
 ヘモグロビンは、141個のアミノ酸を持つα鎖グロビンと呼ばれる蛋白(たんぱく)質と、146個のアミノ酸を持つ非α鎖グロビンと呼ばれる蛋白質の各2分子からなる構造をしています。4分子には鉄を含むヘムが1個結合しており、計4個のヘムが酸素と結合し、各臓器や組織に酸素を運んでいます。
 サラセミアは、α鎖グロビンや非α鎖グロビンの合成障害によって、正常なヘモグロビンを作ることができず、1つ1つの赤血球が小さい小球性で、その1つの赤血球に含まれるヘモグロビンの量が少ない低色素性という小球性低色素性貧血を示します。α鎖グロビンの異常によるものをαサラセミア、β鎖グロビンの異常によるものをβサラセミアといいます。
 サラセミアの発症者は生まれ付き、グロビンを作る設計図に相当する遺伝子に異常があるため、正常なヘモグロビンを作ることができません。常染色体優性遺伝という形式で遺伝する疾患で、両親のいずれかがサラセミアを発症していた場合に、子供に遺伝する可能性が高くなります。自然発生することは、ほとんどありません。
 もともと地中海に面した地域に多く、日本人の発症者は少ないと考えられていましたが、最近になって日本人にも決して少なくないことが調査研究で明らかになっており、九州や西日本に多いとされています。
 日本人におけるサラセミアの頻度は、αサラセミアで新生児3500人に1人、βサラセミアで新生児1000人に1人程度であると見なされています。αサラセミア、βサラセミアともに軽症型であるため、赤血球の寿命が短くなって壊れ、ヘモグロビンが多量に血球外に出される溶血という現象が発生する溶血性貧血の割合は少なく、特にβサラセミアでは全体の6%にしか溶血性貧血は認められません。
 遺伝子の異常により軽症型から重症型まであり、サラセミアの症状はさまざまです。発症者はヘモグロビンが不足するために貧血を起こし、黄疸(おうだん)、皮膚潰瘍(かいよう)、脾腫(ひしゅ)、胆石、肝機能障害などの症状を示しますす。心臓や脳に運ばれる酸素が少なくなることで、心不全や意識消失を引き起こすこともあります。
 日本人の場合は軽症型が多く認められ、一般には小球性低色素性貧血の症状が生後2~3カ月から出始めます。自覚症状としては、皮膚が白くなる、成長が遅くなる、気難しくなったりふさぎ込んだりする、お腹が張る感じがするなどがあります。
 日本人にまれな重症型のβサラセミアで、父親由来と母親由来の両方の遺伝子に異常があるホモ接合体、父親由来と母親由来のいずれか一方のみの遺伝子に異常が認められる複合ヘテロ接合体では、不均衡なヘモグロビン産生が赤血球膜障害を招いて溶血性貧血を起こし、一生涯、輸血を余儀なくされます。顔面の骨や頭蓋(ずがい)骨が通常よりも肥厚化するサラセミア様顔貌(がんぼう)を示すこともあります。
 胎児のうちに重症型のβサラセミアのホモ接合体、複合ヘテロ接合体が診断されれば、子宮内胎児死亡を防ぐための胎児輸血や、研究段階である胎児遺伝子治療への道が開けます。
[蟹座]サラセミアの検査と診断と治療
 小児科、ないし血液内科の医師による診断では、血液検査を行い、血液に含まれる細胞の数や形態などを調べます。ヘモグロビンA2やヘモグロビンFという異常なヘモグロビン、形態が崩れたり壊れたりした赤血球が含まれていないかどうか確認します。
 次に骨髄検査を行い、腰骨の中の骨髄をほんの一部を針で採取します。採取した骨髄は、病理医が顕微鏡を使って、造血幹細胞の状態を詳細に観察します。さらに超音波検査を行い、腹の中にある脾臓や肝臓が大きくなっていないかどうか調べます。
 遺伝子検査では、グロビンを作る設計図に相当する遺伝子を調べて、どのような異常があるか調べます。複数の遺伝子異常が存在し、どの遺伝子異常があるかによって重症度が大きく異なるため、治療の選択が大きく変わります。
 小児科、ないし血液内科の医師による治療では、外来への通院により、貧血の改善を図ります。軽症の場合は、定期的に血液検査を行い貧血の有無をチェックします。不必要な鉄製剤の投与などを避け、妊娠や感染症の合併などの要因で一過性に引き起こされる貧血症状の増悪に注意を払います。
 重症の場合は、輸血療法を行い、不足しているヘモグロビンを補充します。輸血療法では、点滴と同じ要領で腕の静脈に針を刺し、1回で200~400mlの血液を補充します。血液検査を行って赤血球の値を確認しながら、月に数回、外来への通院により、血液補充を継続します。ヘモグロビンが補充されて運ばれる酸素が多くなるため、心臓や脳にかかる負担が減ることで自覚症状が改善します。
 場合によっては、数十年という長期間にわたって輸血療法を継続する必要があります。その際は、頻回な輸血の副作用である鉄過剰症が問題となります。鉄は心臓や肝臓に少しずつ蓄積するため、頻回の輸血により鉄が過剰になると、心臓や肝臓の機能が低下するため、経口除鉄剤の服用により、体内からの鉄の排出を促進する鉄キレート療法を併用します。また、鉄製剤の内服薬は禁止します。
 鉄キレート療法の副作用として、吐き気や下痢、嘔吐(おうと)、腹痛などの胃腸症状、腎(じん)障害が出ることがあります。
 重症型の一部の症例では、造血幹細胞移植が選択肢の一つとなります。HLA(ヒト白血球抗原)という型が一致する臓器提供者(ドナー) から提供された造血幹細胞を移植することで、血液を作る細胞を入れ替える治療で、サラセミアを完全に治すことのできる唯一の治療法です。

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☐用語 遺伝性アロマターゼ発現異常症 [用語(い)]

[双子座]遺伝性の原因により、アロマターゼの発現に異常が生じて発症する疾患
 遺伝性アロマターゼ発現異常症とは、遺伝性の原因により、アンドロゲン(男性ホルモン)をエストロゲン(女性ホルモン)に変換する酵素であるアロマターゼが過剰に、あるいは過少に発現することにより発症する疾患。
 アンドロゲン(男性ホルモン)とエストロゲン(女性ホルモン)は、性差の決定にかかわるホルモンです。これらは男性だけ、あるいは女性だけが持つのではなく、両方の性ホルモンは適切な時期に適量でそれぞれの性において産生されています。テストステロン、デヒドロテストステロン、アンドロステロンなどのアンドロゲン(男性ホルモン)をエストロゲン(女性ホルモン)に変換する酵素であるアロマターゼは、体内のさまざまな部位で発現し、血流によって運ばれてくるアンドロゲン(男性ホルモン)を基質として、局所的にエストロゲン(女性ホルモン)を産生しています。
 遺伝性アロマターゼ発現異常症の代表的な疾患は、アロマターゼ過剰症とアロマターゼ欠損症です。
[双子座]男性に乳房の発育を認めるアロマターゼ過剰症
 アロマターゼ過剰症は、遺伝性の原因により、男性に乳房の発育を認める疾患。遺伝性女性化乳房症とも呼ばれます。
 常染色体優性遺伝性の単一遺伝子病で、エストロゲン(女性ホルモン)合成酵素であるアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異により発症します。全身の臓器や細胞で、アロマターゼが過剰に発現し、血中のエストロゲン(女性ホルモン)が上昇します。
 血中のエストロゲンが持続的に高値となるため、思春期より前の小児期に発症し、症状が現れ始めます。大きな症状としては、高度で反復性の乳房増大、骨年齢進行による低身長、性欲の低下、精巣機能の低下などがあります。
 乳房の増大の程度は、強い場合が多いのですが、比較的軽い場合もあります。一過性でなく、進行性に乳房が増大してくる場合、父親または兄弟に同様の症状がある場合には、このアロマターゼ過剰症が疑われます。
 男性の乳房の増大は、身体的問題だけでなく、精神的問題を引き起こします。そのため、社会的活動性の著しい低下を来すことがあります。
 また、このアロマターゼ過剰症は、女性にも発症することがあり、症状としては巨大乳房、低身長、不正性器出血などがあります。乳がんや子宮体がんが発生することも懸念され、不妊症の原因になることもあります。
 アロマターゼ過剰症の発生はまれで、かつ新しい疾患概念であるため、専門に診断や治療を行う診療科はなく、小児科、内科、外科、産婦人科、乳腺(にゅうせん)外科など複数の診療科で別々に取り扱われています。
[双子座]エストロゲンが働かないアロマターゼ欠損症
 アロマターゼ欠損症は、遺伝性の原因により、女性ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が働かない疾患。
 常染色体劣性遺伝性の単一遺伝子病で、男性ホルモンの一つであるテストステロンをエストロゲン(卵胞ホルモン)に変換する酵素であるアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異により発症します。
 アロマターゼ欠損症を発症した女性は、胎盤アロマターゼ欠損症により新生児の時から外性器が不明瞭(めいりょう)に男性化し、女性仮性半陰陽と診断されることがあります。2~4歳の女児では、エストロゲン(卵胞ホルモン)が産生されないため、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が極めて高くなり、卵巣の一部にできた袋状の腫瘍(しゅよう)内に液体がたまる卵巣嚢腫(のうしゅ)(未破裂卵胞)が出現します。
 思春期には、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が高く、エストロゲン(卵胞ホルモン)が低くなり、第2次性徴が起こリません。テストステロンが増加し、徐々に男性化します。骨減少症、骨粗鬆(こつそしょう)症を引き起こすこともあります。
 一方、アロマターゼ欠損症を発症した男性は、正常な性分化、正常な思春期を迎えますが、エストロゲン(卵胞ホルモン)の低下のため、類宦官(るいかんがん)体形という子供のような体形がみられ、骨端線の閉鎖不全によって大人になってもどんどん骨が成長し続け、極めて身長が高くなります。性欲減退が著しく、骨減少症、骨粗鬆症、インスリン抵抗性(耐糖能異常)になります。
 アロマターゼ欠損症の発生はまれで、かつ新しい疾患概念であるため、専門に診断や治療を行う診療科はなく、小児科、小児内分泌科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科など複数の診療科で別々に取り扱われています。
 アロマターゼ欠損症を発症した女性は、出生時に医師や看護師によって女性仮性半陰陽が発見されることが望ましいのですが、思春期や成人後に発見されることもあります。思春期になって女子のはずなのに初経(初潮)がなかったり、陰核の肥大や多毛、声の低下などの男性化が起こってくる場合には、できるだけ早く小児科、あるいは小児内分泌科、内科、内分泌代謝内科などの診断を受けるようにします。
[双子座]アロマターゼ過剰症の検査と診断と治療
 小児科、外科、乳腺外科などの医師による診断では、乳房増大などの症状があり、かつ血中エストロゲンが高値があることからアロマターゼ過剰症と判断します。確定するために、遺伝学的診断でアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異を検索することもあります。
 小児科、外科、乳腺外科などの医師による治療では、症状が軽い場合はそのまま経過観察しますが、程度が強い場合や、若年発症で低身長が予測される場合には、乳がんなどの治療に用いられているアロマターゼ阻害剤を投与することにより、過剰なエストロゲン(女性ホルモン)の産生を抑制し、症状の改善や発症の予防を図ります。しかし、遺伝子の異常によって生じる疾患であるため、根本的な治療はできません。
 男児が女性のように乳房が大きくなることで身体的、精神的問題を抱えている場合は、外科的手術を行い、肥大した乳腺の組織をほぼ全部、または一部を切除することもあります。
 手術後にも、アロマターゼ阻害剤を投与し、乳房増大の再発を予防します。
[双子座]アロマターゼ欠損症の検査と診断と治療
 小児科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科などの医師による診断では、女性仮性半陰陽を手掛かりとして、血中エストロゲンが低値であることからアロマターゼ欠損症と判断します。確定するために、遺伝学的診断でアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異を検索することもあります。
 小児科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科などの医師による治療では、アロマターゼ欠損症の2~4歳の女児ではエストロゲン(卵胞ホルモン)が産生されないため、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が極めて高くなり、卵巣嚢腫(未破裂卵胞)が出現しますが、少量のエストロゲンを投与すると嚢腫は消失し、正常な卵胞発育を起こします。
 エストロゲンの投与は2歳からが望ましく、結合型エストロゲン0・15mg(エストラジオール0・25mg)を使用します。10~12歳では、これを0・3mg~1・25mgに増加させ、さらに黄体ホルモン剤も投与し、生理を起こすようにします。14歳までには、低用量経口避妊薬(OCピル)へスイッチします。
 第2次性徴の欠如によりアロマターゼ欠損症が発見された女性に対しても、同じようなエストロゲンの投与により女性ホルモンの補充療法を行います。しかし、遺伝子の異常によって生じる疾患であるため、アロマターゼ欠損症の根本的な治療はできません。
 アロマターゼ欠損症の男性では、14~16歳から少量のエストロゲン(12・5~25μg貼付〈ちょうふ〉剤)を使用します。これにより、骨端線が閉鎖し、骨粗鬆症が予防され、インスリン抵抗性(耐糖能異常)が正常になります。しかし、過剰のエストロゲンの投与は、男性の乳房が女性のような乳房に膨らむ女性化乳房を引き起こしますので、注意が必要です。

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☐用語 遺伝性楕円赤血球症 [用語(い)]

[牡羊座]赤血球が先天的に楕円形に変形して本来の機能が低下し、壊れやすくなる疾患
 遺伝性楕円(だえん)赤血球症とは、先天的な赤血球膜蛋白質(たんぱくしつ)の異常により赤血球異常が引き起こされる疾患。卵形赤血球症とも呼ばれ、赤血球膜異常症の一つ、また先天性溶血性貧血の一つです。
 血液を構成する細胞のうち、各臓器や組織への酸素運搬を担う赤血球という細胞の赤血球膜蛋白質の1種のバンド3蛋白質、αスペクトリン、βスペクトリンなどの遺伝的な異常によって、20~100%の赤血球の形状が楕円形または卵円形に変形して本来の機能が低下し、壊れやすくなります。
 常染色体優性遺伝という形式で遺伝するまれな疾患です。
 主要な症状は貧血、黄疸(おうだん)、脾臓(ひぞう)のはれですが、症状の程度は個人差が強く、新生児期に重篤な症状を起こす場合もあれば、成人してから検査結果の異常で偶然発見される場合もあります。同じ赤血球膜異常症の一つで、赤血球の形状が球状に変形する遺伝性球状赤血球症と症状が類似しているものの、より軽度である傾向がみられ、貧血を示す例は少なく、脾臓のはれを示す例が多くみられます。
 赤血球は体内で狭い血管をも通過できるように、正常では中央部分がへこんだ円盤状の形をしています。この形態によって、狭い部分を通過する際に細胞が折り畳まれることで細胞を傷付けずにより先に流れていくことができます。
 遺伝性楕円赤血球症では、この特殊な形を保つための細胞骨格を作り上げるバンド3蛋白質などの遺伝子異常があるため、赤血球が通常通り変形することができず、細い血管や脾臓を通過するたびにその抵抗により細胞膜がどんどん削り取られてゆきます。細胞膜の面積が減っても細胞の中身の量は変わらないため、同じ表面積で体積を多くできる楕円形に赤血球が近付いてゆきます。それでも最終的には、細胞膜が薄くなることで形を保てずに赤血球が壊れてしまい、血色素(ヘモグロビン)が多量に赤血球外に出される溶血という現象が発生します。
 細胞骨格にかかわる蛋白質には多くの種類があり、どの蛋白質にどのような異常が出るかによっても疾患の深刻さは異なってきます。
 最重症の場合は、胎児期に高度の貧血のため、胎児水腫(すいしゅ)という状態を起こし得ます。新生児期に症状が出る場合の多くは、溶血のために血液中にビリルビン(胆汁色素)が増え新生児黄疸を起こして発見されます。黄疸の程度がひどい場合は、脳へのビリルビンの沈着とそれによる発達障害を起こすこともありますが、貧血による症状が深刻なことはまれです。新生児期をすぎると、皮膚の黄疸が問題となることは少なくなります。
 遺伝性楕円赤血球症の発症者では、赤血球が壊れずに体内を循環できる期間が疾患のない人と比べて少ないため、常に骨髄が活性化して多めに赤血球を作り続けている状態です。そのため、俗にリンゴ病と呼ばれる伝染性紅斑(こうはん)の原因になるヒトパルボウイルスB19型というウイルス感染への感染、赤血球を作る際に必要なビタミンB12や葉酸の不足など、骨髄の活動を抑制するような出来事があると急激に貧血が進行して症状を起こす可能性が高くなります。
 また、皮膚の黄疸を起こすほどではないにしろ、溶血によって赤血球からビリルビンが漏れ出続けているため肝臓がそれを処理し切れずに、ビリルビンが胆石を作りそれによる胆石疝痛(せんつう)発作を起こす可能性が高くなります。
[牡羊座]遺伝性楕円赤血球症の検査と診断と治療
 小児科、ないし血液内科の医師による診断では、足の裏などから末梢(まっしょう)血を採取して、赤血球の形態観察で楕円形赤血球または卵円形赤血球の増加、赤血球の浸透圧抵抗の低下、血液中の間接型ビリルビン値の上昇、直接抗グロブリン(直接クームス)試験の結果が陰性になることによる遺伝性球状赤血球症の除外、脾臓のはれ、類似する疾患の家族歴などを総合して診断します。可能であれば、赤血球膜の蛋白質を電気泳動で解析し、遺伝的異常を同定します。
 なお、新生児期には赤血球の形態、赤血球の浸透圧抵抗ともに典型的な所見を示さないことも多いため、診断が難しいことがあります。
 小児科、ないし血液内科の医師による治療では、疾患の原因が遺伝的な蛋白質の異常であるため、ほかの先天性溶血性貧血と同様に根本的な治療法はありません。
 対症療法として、正常より多くの量が必要となる葉酸を経口で補充します。まれに新生児期から貧血による症状が出る場合は、成熟に伴って骨髄が赤血球の消費を補えるだけ新たに赤血球を生産できるようになるまで、赤血球輸血や、エリスロポエチンという赤血球の生産を増やすホルモンの投与などを行います。
 また、溶血や貧血に伴う症状が高度な場合や、これらの症状が軽度でも胆石が認められる場合などでは、赤血球を主に壊している脾臓を外科手術、あるいは腹腔(ふくくう)鏡下手術によって取り除く脾摘が治療法となります。脾摘後も遺伝性楕円赤血球症は持続するものの、循環血液中での赤血球の寿命は延長します。元々の症状の程度によってどの程度の改善がみられるか個人差はありますが、軽症の場合はビリルビンなどの検査値がほぼ正常範囲になり、重症の場合でも輸血を必要とする頻度がかなり改善するなど大きな効果が見込めます。
 しかし、脾臓という臓器が肺炎球菌など一部の細菌感染に対抗する上で重要な役割を持っているため、脾摘後はこれらの感染症に対して抵抗力が弱くなってしまいます。そのため脾摘の前にワクチン接種を受けることが推奨されます。また、脾摘を受けた発症者は脾摘を受けない遺伝性楕円赤血球症の発症者と比べて、動脈/静脈塞栓(そくせん)の危険性が上がるという報告もあるため、元々の危険性が高い発症者では注意が必要になります。
 特に乳幼児期は脾摘後に重症細菌感染症にかかりやすくなるため、重症の場合でも6歳になるまで脾摘は待つほうが安全とされます。軽症の場合は、青年期まで待機可能なこともあります。
 そのほかの疾患の治療のため骨髄移植を行った場合には、骨髄の細胞が根本的に入れ替わるため遺伝性楕円赤血球症も改善しますが、この疾患単独に対する治療としては治療に伴う合併症のリスクが高すぎるため通常は行われません。

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☐用語 先天性溶血性貧血 [用語(せ)]

[牡牛座]赤血球の寿命が短くなり、骨髄が赤血球を作る造血機能が追い付かずに現れる先天性の貧血
 先天性溶血性貧血とは、先天的に起きる溶血性貧血の総称。
 溶血性貧血とは、全身に酸素を運ぶ役割を持つ赤血球そのものの寿命が短く、正常の約120日の寿命より早く消失してしまい、骨髄の造血機能が追い付けなくなって貧血を起こす疾患で、その原因が赤血球自体にあるものと、赤血球以外にあるものとがあります。原因が赤血球自体にあるもののほとんどは、先天性あるいは遺伝性の赤血球異常による溶血性貧血で、日本人には比較的まれな疾患です。
 先天性溶血性貧血には、赤血球自体に異常がある遺伝性球状赤血球症や遺伝性楕円(だえん)赤血球症(卵形赤血球症)、酵素に異常がある赤血球酵素異常症、ヘモグロビン異常症、サラセミアなどがあります。日本で発見される先天性溶血性貧血の中では、遺伝性球状赤血球症が約70%、遺伝性楕円赤血球症が約2%、赤血球酵素異常症が約5%、ヘモグロビン異常症が約5%を占めます。
 先天性溶血性貧血の代表的な疾患である遺伝性球状赤血球症は、血液を構成する細胞のうち、各臓器や組織への酸素運搬を担う赤血球細胞の遺伝的な異常によって、形状が球状に変形して本来の機能が低下し、壊れやすくなる疾患。慢性家族性黄疸(おうだん)、先天性溶血性黄疸、家族性球状赤血球症、球状赤血球性貧血とも呼ばれます。
 常染色体優勢遺伝という形式で遺伝することが多いものの、常染色体劣性遺伝という形式で遺伝することもあり、突然変異による弧発例も存在します。
 日本で発見される先天性溶血性貧血の中で最も頻度が高い疾患で、人口5〜10万人に1人の頻度とされています。主要な症状は貧血、黄疸、脾臓(ひぞう)のはれですが、症状の程度は個人差が大変強く、新生児期に重篤な症状を起こす場合もあれば、成人してから検査結果の異常で偶然発見される場合もあります。
 赤血球は体内で狭い血管をも通過できるように、正常では中央部分がへこんだ円盤状の形をしています。この形態によって、狭い部分を通過する際に細胞が折り畳まれることで細胞を傷付けずにより先に流れていくことができます。
 遺伝性球状赤血球症では、この特殊な形を保つための細胞骨格を作り上げる蛋白(たんぱく)質の遺伝子異常があるため、赤血球が通常通り変形することができず、細い血管や脾臓を通過するたびにその抵抗により細胞膜がどんどん削り取られてゆきます。細胞膜の面積が減っても細胞の中身の量は変わらないため、同じ表面積で最も体積を多くできる球状に赤血球が近付いてゆきます。それでも最終的には、細胞膜が薄くなることで形を保てずに赤血球が壊れてしまい、血色素(ヘモグロビン)が多量に赤血球外に出される溶血という現象が発生します。
 細胞骨格にかかわる蛋白質には多くの種類があり、どの蛋白質にどのような異常が出るかによっても疾患の深刻さは異なってきます。
 最重症の場合は、胎児期に高度の貧血のため、胎児水腫(すいしゅ)という状態を起こし得ます。新生児期に症状が出る場合の多くは、溶血のために血液中にビリルビン(胆汁色素)が増え新生児黄疸を起こして発見されます。黄疸の程度がひどい場合は、脳へのビリルビンの沈着とそれによる発達障害を起こすこともありますが、貧血による症状が深刻なことはまれです。新生児期をすぎると、皮膚の黄疸が問題となることは少なくなります。
 遺伝性球状赤血球症の発症者では、赤血球が壊れずに体内を循環できる期間が疾患のない人と比べて少ないため、常に骨髄が活性化して多めに赤血球を作り続けている状態です。そのため、俗にリンゴ病と呼ばれる伝染性紅斑(こうはん)の原因になるヒトパルボウイルスB19型というウイルス感染への感染、赤血球を作る際に必要なビタミンB12や葉酸の不足など、骨髄の活動を抑制するような出来事があると急激に貧血が進行して症状を起こす可能性が高くなります。
 また、皮膚の黄疸を起こすほどではないにしろ、溶血によって赤血球からビリルビンが漏れ出続けているため肝臓がそれを処理し切れずに、ビリルビンが胆石を作りそれによる胆石疝痛(せんつう)発作を起こす可能性が高くなります。
[牡牛座]先天性溶血性貧血の検査と診断と治療
 小児科、ないし血液内科の医師による溶血性貧血の診断では、血液の検査が最も重要です。これによって、貧血とともに、ビリルビンや乳酸脱水素酵素(LDH)といわれる物質の上昇が認められれば、溶血が強く疑われます。
 身内に溶血性貧血の人がいる場合、先天性溶血性貧血の可能性があり、遺伝子や蛋白の異常を生化学的に検査していきます。
 先天性溶血性貧血の代表的な疾患である遺伝性球状赤血球症の診断では、足の裏などから末梢(まっしょう)血を採取して、赤血球の形態観察で球状赤血球や小型球状赤血球の増加、赤血球の浸透圧抵抗の低下、血液中の間接型ビリルビン値の上昇、脾臓のはれなどを総合して診断します。可能であれば、赤血球膜の蛋白質を電気泳動で解析し、遺伝的異常を同定します。
 なお、新生児期には赤血球の形態、赤血球の浸透圧抵抗ともに典型的な所見を示さないことも多いため、診断が難しいことがあります。
 小児科、ないし血液内科の医師による遺伝性球状赤血球症の治療では、疾患の原因が遺伝的な蛋白質の異常であるため、ほかの先天性溶血性貧血と同様に根本的な治療法はありません。
 対症療法として、正常より多くの量が必要となる葉酸を経口で補充します。まれに新生児期から貧血による症状が出る場合は、成熟に伴って骨髄が赤血球の消費を補えるだけ新たに赤血球を生産できるようになるまで、赤血球輸血や、エリスロポエチンという赤血球の生産を増やすホルモンの投与などを行います。
 また、溶血や貧血に伴う症状が高度な場合や、これらの症状が軽度でも胆石が認められる場合などでは、赤血球を主に壊している脾臓を外科手術、あるいは腹腔(ふくくう)鏡下手術によって取り除く脾摘が治療法となります。元々の症状の程度によってどの程度の改善がみられるか個人差はありますが、軽症の場合はビリルビンなどの検査値がほぼ正常範囲になり、重症の場合でも輸血を必要とする頻度がかなり改善するなど大きな効果が見込めます。
 しかし、脾臓という臓器が肺炎球菌など一部の細菌感染に対抗する上で重要な役割を持っているため、脾摘後はこれらの感染症に対して抵抗力が弱くなってしまいます。そのため脾摘の前にワクチン接種を受けることが推奨されます。また、脾摘を受けた発症者は脾摘を受けない遺伝性球状赤血球症の発症者と比べて、動脈/静脈塞栓(そくせん)の危険性が上がるという報告もあるため、元々の危険性が高い発症者では注意が必要になります。
 特に乳幼児期は脾摘後に重症細菌感染症にかかりやすくなるため、重症の場合でも6歳になるまで脾摘は待つほうが安全とされます。軽症の場合は、青年期まで待機可能なこともあります。
 そのほかの疾患の治療のため骨髄移植を行った場合には、骨髄の細胞が根本的に入れ替わるため遺伝性球状赤血球症も改善しますが、この疾患単独に対する治療としては治療に伴う合併症のリスクが高すぎるため通常は行われません。

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☐用語 アロマターゼ欠損症 [用語(あ)]

[喫茶店]遺伝性の原因により、エストロゲンが働かない疾患
 アロマターゼ欠損症とは、遺伝性の原因により、女性ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が働かない疾患。
 常染色体劣性遺伝性の単一遺伝子病で、男性ホルモンの一つであるテストステロンをエストロゲン(卵胞ホルモン)に変換する酵素であるアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異により発症します。
 アロマターゼ欠損症を発症した女性は、胎盤アロマターゼ欠損症により新生児の時から外性器が不明瞭(めいりょう)に男性化し、女性仮性半陰陽と診断されることがあります。2~4歳の女児では、エストロゲン(卵胞ホルモン)が産生されないため、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が極めて高くなり、卵巣の一部にできた袋状の腫瘍(しゅよう)内に液体がたまる卵巣嚢腫(のうしゅ)(未破裂卵胞)が出現します。
 思春期には、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が高く、エストロゲン(卵胞ホルモン)が低くなり、第2次性徴が起こリません。テストステロンが増加し、徐々に男性化します。骨減少症、骨粗鬆(こつそしょう)症を引き起こすこともあります。
 一方、アロマターゼ欠損症を発症した男性は、正常な性分化、正常な思春期を迎えますが、エストロゲン(卵胞ホルモン)の低下のため、類宦官(るいかんがん)体形という子供のような体形がみられ、骨端線の閉鎖不全によって大人になってもどんどん骨が成長し続け、極めて身長が高くなります。性欲減退が著しく、骨減少症、骨粗鬆症、インスリン抵抗性(耐糖能異常)になります。
 アロマターゼ欠損症の発生はまれで、かつ新しい疾患概念であるため、専門に診断や治療を行う診療科はなく、小児科、小児内分泌科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科など複数の診療科で別々に取り扱われています。
 アロマターゼ欠損症を発症した女性は、出生時に医師や看護師によって女性仮性半陰陽が発見されることが望ましいのですが、思春期や成人後に発見されることもあります。思春期になって女子のはずなのに初経(初潮)がなかったり、陰核の肥大や多毛、声の低下などの男性化が起こってくる場合には、できるだけ早く小児科、あるいは小児内分泌科、内科、内分泌代謝内科などの診断を受けるようにします。
[喫茶店]アロマターゼ欠損症の検査と診断と治療
 小児科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科などの医師による診断では、女性仮性半陰陽を手掛かりとして、血中エストロゲンが低値であることからアロマターゼ欠損症と判断します。確定するために、遺伝学的診断でアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異を検索することもあります。
 小児科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科などの医師による治療では、アロマターゼ欠損症の2~4歳の女児ではエストロゲン(卵胞ホルモン)が産生されないため、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が極めて高くなり、卵巣嚢腫(未破裂卵胞)が出現しますが、少量のエストロゲンを投与すると嚢腫は消失し、正常な卵胞発育を起こします。
 エストロゲンの投与は2歳からが望ましく、結合型エストロゲン0・15mg(エストラジオール0・25mg)を使用します。10~12歳では、これを0・3mg~1・25mgに増加させ、さらに黄体ホルモン剤も投与し、生理を起こすようにします。14歳までには、低用量経口避妊薬(OCピル)へスイッチします。
 第2次性徴の欠如によりアロマターゼ欠損症が発見された女性に対しても、同じようなエストロゲンの投与により女性ホルモンの補充療法を行います。しかし、遺伝子の異常によって生じる疾患であるため、アロマターゼ欠損症の根本的な治療はできません。
 アロマターゼ欠損症の男性では、14~16歳から少量のエストロゲン(12・5~25μg貼付〈ちょうふ〉剤)を使用します。これにより、骨端線が閉鎖し、骨粗鬆症が予防され、インスリン抵抗性(耐糖能異常)が正常になります。しかし、過剰のエストロゲンの投与は、男性の乳房が女性のような乳房に膨らむ女性化乳房を引き起こしますので、注意が必要です。

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■富士フイルム、新型コロナウイルス検査試薬を15日に発売へ 検査時間を2時間短縮  [健康ダイジェスト]

 富士フイルムは3日、新型コロナウイルスを素早く検知できる検査薬を15日に発売すると発表しました。検査時間を2~4時間と、従来よりも約2時間短縮できます。検査に使う試薬の種類を減らし、容器を移し替える時間や手間を省きました。
 各地域の衛生研究所や民間の検査機関などに販売する試薬は、子会社の富士フイルム和光純薬(大阪市中央区)が開発。唾液に含まれるウイルスの遺伝子を増やして種類を調べる「PCR法」と呼ぶ検査技術に使います。従来の検査方法では、患者の鼻やのどの粘液などから抽出したRNA(リボ核酸)に試薬を混ぜてDNAに転換した後、容器を入れ替えてDNAを増幅する必要がありました。
 新たに開発した試薬は、同じ試薬でRNAをDNAに転換し、DNAを増幅できるようにしたのが特徴。これで容器を入れ替える時間や手間を減らし、容器を入れ替える時に不純物が混ざるリスクも抑えられます。
 協力会社が開発したRNAを短時間で抽出するキットと一緒に使えば、従来4~6時間かかっていた検査時間を大幅に短縮できます。専用の検査機械は必要なく、通常の機械で使えるといいます。
 試薬は、富士フイルム和光純薬の大阪工場(兵庫県尼崎市)で生産します。供給量は、公表していません。
 富士フイルム和光純薬は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2月中旬に試薬の開発に着手しました。通常は開発に3~4カ月かかるものの、「国立感染症研究所が開示している新型コロナの遺伝子や検査方法の情報などを使い、開発期間を短縮できた」といいます。
 新型コロナウイルスを巡っては、患者数の増加に対し、検査体制が追い付いていないとの指摘があります。ドイツやシンガポールなどでは簡易鑑定の手法を導入しているのに対し、日本ではPCR法をとっています。PCR法は陽性・陰性の判定精度が高い一方、検査に時間を要します。
 新型コロナに対応したPCR法向けの試薬は、スイスのロシュなど大手企業を中心に増産し、日本ではタカラバイオや東洋紡などが生産規模を拡大しています。

 2020年4月4日(土)

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■新型コロナウイルス、東京都で新たに118人感染確認 1日100人超は初 [健康ダイジェスト]

 東京都の関係者によりますと、4日に都内で新たに118人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたということです。都内で感染が確認された人が1日に100人を超えるのはこれが初めてで、都は先週末に続いて、4日と5日も不要不急の外出を控えてほしいと強く呼び掛けています。
 東京都内で新型コロナウイルスに感染する人が急増する中、都の関係者によりますと、4日に都内で新たに10歳代から90歳代までの男女合わせて118人が、新型コロナウイルスに感染していることが確認されたということです。7割近くの81人は、今のところ感染経路がわかっていないということです。
 都内の感染者数は、4月1日から66人、97人、89人と推移していました。これで都内で感染が確認されたのは、合わせて891人になります。
 生活必需品の買い出しや病院に行くことなどについては自粛を呼び掛けていませんが、都によりますと、感染経路がわからないケースや若い世代の感染が相次いでいるということで「今日でなければいけない用事かどうか」を、それぞれの事情に応じて考えて行動してほしいとしています。
 また、夜間の繁華街での集団感染が疑われるケースが相次いでいるため、夜間の外出を控えることも呼び掛けているほか、感染のリスクが高まる密閉・密集・密接の「3つの密」を避けることなど、感染を広げないための行動をとってほしいとしています。

 2020年4月4日(土)

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■アメリカの感染者27万人超、死者は7000人以上 新型コロナウイルス [健康ダイジェスト]

 アメリカで日本時間の4日午前9時半までの24時間に亡くなった人は1480人となり、1つの国で1日に新型コロナウイルスへの感染で亡くなった人としては最も多くなっています。
 新型コロナウイルスの世界的な感染状況を集計しているアメリカのジョンズ・ホプキンス大学によりますと、日本時間の4日午前11時現在、アメリカで新型コロナウイルスに感染した人は27万7828人で、亡くなった人は7141人となっています。
 感染者が集中するニューヨーク州のクオモ知事は3日の記者会見で、州内の感染者が前日比1万482人増の10万2863人となり、死者は前日から562人増え、計2935人になったと発表しました。入院患者も前日比1427人増の1万4810人に達しました。
 クオモ知事は、病院で人工呼吸器が不足する可能性があるため、郊外の病院や民間企業などにある未使用の人工呼吸器などを回収し、必要な病院に再配備するための行政命令を出すことも明らかにしました。

 2020年4月4日(土)

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■中国、新たに19人の感染確認 新型コロナウイルス [健康ダイジェスト]

 新型コロナウイルスについて、中国の保健当局は4日、3日に新たに19人の感染が確認され、感染者は合わせて8万1639人になったと発表しました。
 新たに確認された感染者のうち、18人は海外からの入国者で、1人は湖北省の武漢市で確認されたとしています。
 また、死者は湖北省武漢市で4人増え、中国での死者は合わせて3326人になったとしています。
 このほか、新型コロナウイルスの検査で陽性反応が出たものの、症状がないことを理由に感染者の統計に加えられていない「無症状」の感染者については、3日に新たに64人が確認されたとしています。
 保健当局は、無症状の感染者について累計の人数をこれまでは明らかにしていませんが、4日の発表では、合わせて1030人が経過観察の対象となっていると発表しています。
 治療中の患者は1562人で、そのうち重症は331人。一方、感染者のうち7万6751人が退院したとしています。

 2020年4月4日(土)

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